カイロプラクティック経営セミナー

井元 雄一PhD



持続可能な発展に向けて

以前のSDGsに関する記事にも大きな反響を頂いた。そもそも私たち治療家にSDGsが関係すると思っていなかった先生も多かったようだ。

そこで今回は詳しく私たちの仕事がSDGsにどう関わっているのかを説明したいと思う。

まずSDGsというのは「持続可能な開発目標( Sustainable Development Goals)」として国連で採択された、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標からなる国際的な開発目標のことだ。17の世界的目標の中には、貧困をなくしていったりジェンダー平等を実現したり、質の高い教育をすべての人に提供するという目標が並んでいる。その17の世界的目標の中の3番目に掲げられているのが、「すべての人に健康と福祉を」というテーマだ。「健康」と記述があるのでピンときた先生もいるだろう。これには「すべての国々、特に開発途上国で、国内および世界で発生する健康リスクの早期警告やリスク軽減・管理のための能力を強化する」とある。

治療家の先生は、日常の業務である施術を通して地域住民へ健康支援を行ってきているだろうし、SDGsの理念にある健康リスク早期警告や軽減・管理は多少されているだろう。ただそれだけでは不十分だと私は思う。私の治療院は、手技による骨格調整のみならず、姿勢分析やAIエクササイズプログラム、栄養分析システムを導入し、子どもから高齢者まで幅広く健康サポートをしている。社会問題となっている子どもの姿勢悪化の問題や、子どもの貧困による栄養不足の健康問題、高齢者のロコモティブシンドロームの予防やADL低下による栄養不足に対しての対策としている。

その他にも、睡眠不足や睡眠負債の解消のための就寝環境の提案、効率的なダイエットを通して高血圧、高脂血症、高血圧などの生活習慣病予防、個々人に合わせた健康増進のためのオーダーメイドサプリメント、血行促進グッズやアーチサポートなどの幅広い各種サービスを用意し、ユーザーの手間を省きワンストップでの健康支援を行っている。

それ以外にもボランティアで、行政や地域と一緒に健康講演会や相談会を実施したり、市民祭りなどの行事にブースを出して啓発活動を行ったり、市民や企業、学校や団体向けの講演会への講師を派遣したり、学校で行われている運動器検診の実施に協力、支援をしている。

商売だけを考えたら不要なものばかりだが、私たちはSDGsの持続可能な開発として取り組むことで社会貢献している。しばらく前から、企業の社会的責任(CSR)ということが盛んに言われるようになっているが、まさにこういうことだ。

さらに私が所属するKCSという団体は、厚生労働省や他の業界団体と連携し、「制度化推進会議」及び「徒手療法師会」を組織し、徒手療法の国家資格化へ向けて働きかけ、法制化へ向けた活動を推進している。

それにより、施術事故の無い、安心安全な手技療法の国家資格が実現できるよう、あらゆる必要な活動をして「すべての人に健康と福祉を!」より一層実現していくため組織としても取り組みを行っている。ぜひ、これをお読みの先生たちも、共に歩んでいけたらと思っている。徒手療法師会についてはカイロタイムズ事務局へ問い合わせをしてもらえれば、詳細な説明が受けられるだろう。


持続可能な経営について

再びコロナウィルスが拡大しているようだ。

私はこの2年間の社会情勢を見ていて、ふと思ったのは2015年に国連サミットで採択されたSDGsだ。なんと、もう採択されてからもう6年以上が経過しているのだが、最近になってやっと日本国内でもSDGsのロゴマークや各企業の積極的な取り組みのアピールを目にするようになった。

採択から6年の歳月がかかったのは、決して各社の取り組み開始が遅かったとか、世界に対して日本はのんびりしていて時間がかかってしまった、ということではないと思う。

その背景について私の見解を述べさせてもらえれば、もともと長期デフレだった日本にとっては、経済発展や物価上昇の印象が弱かったため、「このまま今の状態が続いていくのだろう・・・」という根拠のない安心感が国民の感情としてあったのだろうと思う。

そこに来て、新型コロナウィルスの拡大や日本各地で自然災害の発生が相次ぎ、それを見ていた多くの国民が、その中でも特にZ世代と言われる若者たちが「このままじゃいけないんじゃないか・・・」と思って、それに呼応する形で企業や自治体が動いてきたのだと推測できる。

ちなみに、Z世代というのは1995年以降の生まれの人口統計学やマーケティングで使われる用語だ。

最近になって、サスティナブルであるとか、カーボンニュートラルとかの横文字も、持続可能な社会や脱炭素社会などの日本語もあちこちで見かけるようになったのは、そのZ世代の若者たちが、就業して数年が経ち、企業や自治体の大きな推進力となる時期で、なおかつマーケティングの対象の年齢層もZ世代となってきた表れであると思う。

カイロタイムズの読者の年齢層は幅広いと思うが、そもそも紙の媒体から始まったという特性柄、多くはベビーブーム世代、X世代、Y世代だと思われる。

ちなみにX世代というのは1965~80年ごろの生まれ、Y世代というのは1980~95年ごろの生まれの人たちを指す。

実際に私に質問を送ってきてくれる読者たちも、Z世代は皆無だ。

となると我々治療家が考えていなかければならない課題は明確であり、どうやって日常の業務を通じて循環型社会を作り上げるか、またはその中で私たちの存在意義を構築するか、ということだ。

今までのように、医療だから、健康だから、困っている人は来てくれるだろう、とあぐらをかいていては取り残されるかもしれない。

特に治療業界という狭い分野だけしか見ていないと致命的だろう。ましてや治療の中でも独自の治療法がある先生にとっては厳しいだろう。

決して独自の治療法を否定するわけではなくて、そこに目が行き過ぎてしまっているために見ている世界が狭くなってしまうことが問題なのだ。

十数年前のままの治療方法をひとつ覚えでやり続けているだけでは、社会に提供する価値は増えていかない。

私たちは今の患者さんにとって必要なことを、時代に合わせて常に創出していかなければならない。

医療は日進月歩、我々は生涯勉強し続けなければならない、という言葉をどこかで聞いたことがあると思う。

もしそうなのであれば、我々のサービスもどんどん広く深く進化していかなければならないのだ。

そして進化の際の忘れてはならないポイントが、SDGsが掲げている2030年の到達目標だと思っていたら良いと思う。


経営とは未来予測業(126号掲載)

前回は、治療院レベルでデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進させる視点についてお話ししたが、ずいぶんとたくさんの方から「もっと詳しく聞きたい」「とても興味深い」などの声を頂いた。中には「高額のコンサルタントよりもわかりやすい」という声もあった。

逆に「ITは苦手だ」「治療業界にはデジタルは関係ない」「そんなことするくらいなら引退する」などと言った声もあった。

さて、DXについてはこれからの時代は必須だ。そう断言しても良い。理由は、これからも時代が変わっていくからだ。

今の時代、携帯電話もスマホも持たないでいる人もいるにはいるのだが、だいぶ少なくなってきている。パソコンやタブレットを使わずに生涯を終えることができる人も少ない。

もっと言えば、水道を使わずに井戸から水を汲んで飲んでいる人、電気炊飯器を使わずに飯ごうや釜でご飯を炊いている人も、ガスを使わず薪で風呂を沸かす人も少ない。

つまり、これら上下水道や電気ガスのように、生活の重要なインフラになってきているのがデジタルだ。この時代の流れには誰も逆らえない。さらにコロナ禍によってテレワークが推進され、接触機会減少の名のもとに、さまざまなものがオンライン化されてきてしまった。本来10年かかるところを2年で時代が進んでしまったので、この流れはもはや止められない。

自分がデジタル機器を使わないのは別に構わない。重要なのは、市民、国民が、来院者、患者さんがデジタルをインフラとして、オンライン化されてきた中で生活しているという部分だ。

私たちは治療家であると同時に経営者でもある。開業している先生は治療院という事業を経営している。働いている人も、業務委託という形式の先生は個人事業主=経営者だ。経営というものは、私はある意味「環境適応業」「未来予測業」であると思っている。

未来予測をすれば、間違いなくデジタルトランスフォーメーションが必須の時代になることがわかると思う。個人の好みで、デジタルが好きとか嫌いとか苦手とか言っている場合ではない。

デジタルの世界はドッグイヤーと言われている。犬は1年で人間の7歳分も年をとることからそう言われる。だからこそ、少しでも早く着手して経験やノウハウを蓄積していくことが必要だ。

私が経営しているKCSセンターも、AI(人工知能)で解析する姿勢検査を導入したり、LINEやアプリで予約をとったり、電子カルテを導入している。セミナーも映像機器と音響機材を使ってインターネットで配信したり、会議も世界中とオンラインで繋がって開催している。学会での論文発表ですらも自宅からオンラインだ。

すでに、モノをたくさん持っていることではなく、情報やソフトに価値がある時代になった。カーシェアやシェアハウス、ウーバーなんかもそうだ。モノはみんなで共有すればいい時代になった。昼はラーメン屋、夜は居酒屋、なんていう形態の飲食店も増えてきた。

複数の先生たちが共同で経営していく治療院も増えてきた。治療院のみならず、ネイルサロンや弁護士事務所、税理士事務所、カウンセリングルームもしかり。

そして、そういった環境で育っていく今の小中学生、高校生大学生が大人になっていく。

私たちがその環境に適応しないで、歩み寄る努力もしないで、使いこなそうともせず、失敗もしないで、果たして人生の何を彼らに伝えていくことができるのだろう。

カイロタイムズ読者の先生たちには、しっかりとチャレンジしていき、次の時代のリーダーとなって活躍されていくことを私は心より期待したいと思っている。


治療院レベルでデジタルトランスフォーメーションを推進させる視点(125号掲載)

さて、新型コロナウィルス感染症拡大は収まらないまま、オリンピックを迎えてしまいました。オリンピックを経て、いつか必ずまた良い時代はやってくる!と信じて私たちは治療院の経営を続けなければなりません。かと言って、期待だけして何もしないことは、新しい時代に乗り遅れてしまいます。

今日は、治療院でデジタルトランスフォーメーション(DX)をどのように実現するか、お話ししていきたいと思います。

中小企業庁が今年4月下旬に発行した『中小企業白書2021』によれば、日本の企業で「デジタルトランスフォーメーション:DX未着手(=DXについて知らない)」、または「DX途上(=DXを進めたいが散発的に留まる)」に分類される企業が「9割以上」だとのことでした。

もちろん2020年のコロナパンデミックの前後で、DX実現の必要性・優先順位が高まっているとしている調査もありますが、特に私たち治療院を含めて、技術ありきの伝統的な職業では、昔ながらの手法からの脱却が遅れていて、なかなかDXは進んでいきません。

または勉強熱心な院長先生はアンテナを張っていて、DXを推進したくて色々と提案しても、現場の末端スタッフがついてこれずに、やりたい改革、やるべき改革が進まない事例も多いでしょう。そうなんです、このDXは院長先生やオーナーなど経営者層・幹部層だけが動けば実現できるものではありません。

では、どうしたらよいのか。現場レベルにてDXに向けた業務を落とし込むために押さえたい視点をお伝えします。

まずはDX推進に向けて、DX化した後にはどんな便利さやどんなベネフィットが患者さん、スタッフ、治療院にあるのか、どんな未来が待っているのかを全体で共有するために、DXジャーニーマップ(=DXを実現させるための設計図)を作成してみることが有効です。

ここでDX化のスケジュール感や得られそうな顧客体験(=CX:カスタマーエクスペリエンス)、導入予定のデジタルツールを可視化させていくことで、DXに向けた機運はある程度高まるでしょう。

例えば、LINEを使って予約を取って管理していくと、電話でのやり取りをしなくてもよいし、夜中でも患者さんは予約することができて便利!とかですね。

またはAIやICTを使った検査システムや説明システムを導入すると、めっちゃかっこいい!とかですね。

ただ、実際に現場レベルにまで落とし込んでいくと、DX自体の理解が不足しているスタッフのところでせき止められていつの間にか進んでいかない、という状況が生まれてきます。「DX」は一見華やかなイメージでも、実際の業務は「地道なことの積み重ね」になるので、日々の業務が忙しいとどうしても後回しにされがちです。これは私自身もDX推進やデジタルマーケティングを推進していく中で、日々実感しているところです。

ここで言えることは、治療院のDX推進をするにあたっては、空いた時間を使ってやっていくことは難しい!ということです。

将来のDX人材育成や新規に人材を増やすなど、院長先生が積極的に本気で取り組まなければならないものと位置付けてもらいたいと思います。

1.理解と共有を得ること

2.リーダー人員確保をすること

3.優先順位を決めて通達すること

4.業務管理のルールを決めること

上記の手順で進めていけば、かなりの確率でDXを進めていくことができるだろうと思います。

コロナ禍が終わっても、テレワークや在宅での便利さに慣れてしまった人たちは、もう元の生活には戻れないでしょう。

そうなったときに、また元の時代に戻れると思うのではなく、新しいツールを使って今まで以上のことができないのかを考え、DXを進めていくことが、これからの治療院戦国時代に生き残る唯一の方法だと思って取り組んでほしいと思います。


「厚労省」×「カイロプラクティック業界」で手技療法の資格化実現!(124号掲載)

既にご存じの先生も多いと思うが、厚生労働省と共に進めてきたカイロプラクティック業界の資格化が、一つの到達点に至った。

業界団体で構成するカイロプラクティック制度化推進会議にて、過去最大規模の業界団体「徒手療法師協会」が設立され、ついに資格化が実現したのだ。すでに初回の認証審査を経て、栄光ある「徒手療法師」の資格を授与された先生が300名ほど誕生した。

協会によると取り急ぎ700名ほどが認証待ちの状態で、今年のうちに1,000名の認証を目指しているとのことだ。

1つの団体、またはいくつかの団体で構成される協会から発行される資格は過去も無数にあったが、今回は業界が一つとなって資格化されたものであるから、過去のそれとは価値そのものが違う。

現在の制度化の状況について、振り返ってみると、カイロプラクティック制度化推進(準備)会議という業界の代表者会談が発足したのがもう5年も前のこと。厚生労働省の医政局医事課の課長もしくは課長クラスと一緒に、国内のカイロプラクティック事業者のほぼすべての団体に呼びかけが行われ、その声に応えて多くの団体が集った。

そこから20回ほどの会議を重ねて、いくつかの団体が脱落していくことになる。主義や主張が違うのは当然であるが、複数の団体が集まるのだから、歩み寄れる部分が探らなければならないのだが、自分の団体さえよければいいとか、自分の団体にイニシアチブをとらせろとか、他の団体は認めないなど、おおよそ業界全体を良くしていこうという考え方ではなく、自分のことしか考えていないような団体がどんどんと抜けていった印象だ。

会議を重ねていく中で、仮にカイロプラクティック事業者だけが国家資格化されたとしても、現在国内で多発しているカイロ・整体・柔道整復などの手技による危害や事故を防ぐためには、名称を変えて逃れる輩が出てくることは必至だとの認識に落ち着く。

そこで国民の危害をなくすためには手技療法、徒手療法、整体等もすべてを取り締まることが必要である、という共通認識となったため、資格名称をカイロプラクティックに限定せず「徒手療法師」という和名を冠し手技療法全般を包括することとなった。

併せて国家資格にしていくための要件や試験内容などが業界内で決定され、その内容で厚生労働省の了解も得られたので、制度化推進準備会議の名称から「準備」という文言を削除し、カイロプラクティック制度化推進会議と改め、さらに制度化を進めた。

去年、2020年、新型コロナウィルス感染症拡大によって厚生労働省内もあわただしくなり、制度化推進会議も集まっての会議が中止せざるを得なくなり、予定より半年ほどずれ込んだが、ようやく登録審査が10月に始まり、300人くらいが初期で登録審査に至ったという状況だ。

もしこの読者の中に、まだ登録審査の申し込みをしていない先生がいたら、すぐにでも対応してもらうのが良いだろう。

2021年から2022年にかけて、大きく時代がまた動いていく。それは世界を見ていても明らかだ。徒手療法師の資格認証も、国内ではとても大きな岐路となるものだ。船はひとたび出航してしまったら、そこに乗り遅れた人々は次の出航まで長い期間待たなければならない。

あなたもこの船の乗り込み、共に新しい時代を作っていく側に参画してもらいたいと心から願っている。


2021年の経営方針は・・・(123号掲載)

新型コロナウィルスの影響が止まらない。残念なことに、再び首都圏は緊急事態宣言となってしまった。これを書いている時点ではまだ首都圏だけだが、おそらくほかの感染拡大している地域の知事からも政府に宣言発令の要請が出てきて、対象地域は広がっていくだろうと私は見ている。

私もよく相談を受けるのだが、「緊急事態宣言となってしまったけれど、施術は続けていいのでしょうか?」「感染者を出してしまったら申し訳ないので院はお休みした方がいいでしょうか?」という疑問を思っている先生があまりにも多い。

また、「よくわからないので、周りの様子を見て決めます」という声もあり、実際にその先生は近隣の同業者を何件も見て回って、休みにする治療院が多かったから自粛を決めたそうだ。もちろん最大限の感染防止策は、政府や自治体、または業界ガイドラインに基づき実施していくべきだが、休むことと話は別だ。これは正しい情報を得ていないと言える。

政府発表による私たち事業者が求められていることをまとめると、テレワークを推進して出勤7割減を目指すことと、必要な場合を除いた夜8時以降の勤務の抑制だ。私たちの仕事はテレワークするのはもちろん難しい。経理や勤怠管理のバックオフィス業務や患者さんからの相談対応、エクササイズや栄養指導などの業務に関してはオンライン化して、私も早々にテレワークに移行したが、施術業務に関しては現段階ではテレワークは困難だ。8時以降の勤務の抑制の方は、ある程度可能だろう。これらの対応をしつつ、業務の中で感染拡大防止策を徹底的に行う。

私たちの仕事は、国民のニーズが高くて、社会から必要だと求められている仕事である。特にテレワークが増加し、慣れない環境で座り続ける仕事を強いられる人が増え、外出機会と共に運動量や運動機会が減れば、当然ながら健康上の問題も発生しやすい。むしろこんな社会状況であれば、なおさら私たちは休むべきではないと考えられる。アメリカでも重要な社会インフラとしてカイロプラクティック事業者は、自粛するべきではなく診療を継続することが求められていた。日本でも東京都からは「自粛対象外」とされていたのは都内で業務をしている先生はご存じだろう。

また住民に対して政府は「通院や買い出しを除く」不要不急である外出・移動を自粛するように求めている。私たちのところに来ることが不要不急の外出にあたるかどうかの議論がされることがあるが、今回に関してはそもそもその議論を行う必要もなく、「通院」は不要不急にかかわらず抑制されるべきではないととれるので、安心して来院を促してよい。

世界ではアメリカ大統領選に絡んで弾劾裁判の準備がされているとか、議会議事堂で発砲事件があったり、中国アリババのジャックマー氏が失踪したとか、新型コロナウィルス拡大の最中でも、次の時代を決定づけるような様々なことが、日本の我々の見えないところで起きているようだ。メディアの報道だけでは読み解きにくい世界情勢であるから、多くの情報を基に様々な角度から検証しながら、自分たちの方針を決定していかなければならない。

国内の手技療法の業界では新しく徒手療法師の資格制度が始まっている。国家資格化を見据えて厚生労働省医政局医事課と共に相談しながら作ってきた資格制度である。資格には所属団体の推薦が必要なので、まだ認証登録をしていない読者は、自分の団体に申し出をしていってほしい。団体によっては、自分の団体の権威性が崩れるために、制度化のことを誹謗中傷するところもあるようだが、しっかりと自分で情報を得て判断することが必要だろう。団体に所属していない人は、ゆくゆくは個人にも間口は広がっていくだろうが、早く資格取得したい先生はカイロタイムズもしくは制度化推進会議へ問い合わせをしてみてほしい。

2021年は国内国外ともに情報をしっかりと得ながら、自分の進むべき道を選んでほしいという願いを込めて年頭の経営講座の結びとしたい。


アフターコロナの経営について(122号掲載)

新型コロナウィルス感染症拡大がなんとなく落ち着き、国民も自粛や我慢に飽きてきている中、政府の主導するGOTOキャンペーンも開催され、少しずつ人の動きが全国的に出てきている現状にほっとしている人も多いだろう。これからのインフルエンザウィルスの拡大が合わさってくると、どうなるのか未知数ではあるが、日本においては、新型コロナウイルスによる重傷者や死者数は、諸外国に比べて圧倒的に少ないのが救いだ。

語弊があるかもしれないが、無責任にコメンテーターが、自分の見解を語るワイドショーばかり見ている地方の人たちは、まだまだ過剰にウィルスを怖がるあまり、検査陽性者やマスクをしない人、首都圏から移動してくる人に対して、歪んだ正義感を持って嫌がらせや中傷をする攻撃がとどまってはいない。

先日、小学校でカイロプラクティックの講演をした関係で、教育委員会関係者から教えてもらったのだが、教育委員会に対して、PCR陽性者の出た学校名のみならず、学年やクラス、児童の名前も公表しろと、学校に詰め寄ってきた人がいたそうだ。こんな基本的人権の考えや社会常識を持たない愚か者さえいる始末だ。厚生労働省や政府が発表していること、学術的な根拠のある情報、WHOなど国際機関の見解など、ワイドショー以外のリソースからの情報もしっかりと得ていって欲しいものだ。

私が居住している首都圏では、相変わらず飲食店を中心として、廃業する小規模店舗が後をたたない。行きつけだった飲食店も何軒か潰れてしまったので残念に思う。整体やカイロプラクティック、マッサージなどの手技療法も、全国的にはわからないが、地域の中では廃業や閉店しているのを見かける。

私は姿勢専科KCSセンターというフランチャイズに加盟して、9店舗の運営をしているが、約100店舗あるこの加盟店は、幸いなことにコロナウイルスによる廃業は1件もないそうだ。姿勢専科KCSセンターやカイロプラクティックは、少なくとも自粛やテレワークによる運動不足や仕事環境から来る姿勢の悪化、関節機能、運動性減少、腰痛、肩こりなど、新しい生活様式になったからこそ、そのニーズは間違いなく増加している。私の運営する治療院でもコロナ前と比べて来院者は大幅に増加している。私の持論であるが「ピンチこそチャンス」だと思って、多くの国民の健康に寄与して欲しいと思う。

アフターコロナやウィズコロナと言われるように、我々の事業も新しい様式が求められている。カイロプラクティックや徒手療法の国家資格化を目指して、長年活動し続けている業界最大規模の団体であるカイロプラクティック制度化推進会議でも、業種別ガイドラインを制定しているところだ。日本カイロプラクターズ協会もガイドラインを公開している。これらのガイドラインに従って、感染拡大リスクを徹底的に減らしながらも、重要な社会インフラとしての我々の使命を認識して、しっかりと活動していかなければならない。

幸いなことに、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など、新しい生活様式、非対面型、IT機器の導入などに対する国の助成は多岐にわたっている。これらを活用して早めに対応していくことが、これから事業を伸ばしていくキーポイントになってくるだろう。

もちろん手技による施術を、非対面やIT機器に代替することは基本的には不可能だ。そこに我々の仕事の価値はある。野村総合研究所が49%の仕事が、ロボットやITによってなくなる、と言っているが、私たちの仕事は決して機械化ができない。だからこそ、人間による長年の熟練や経験、学習が不可欠になってくる。多くの患者さんに喜ばれる、自らを高め続けていくことによって、ゴッドハンドと呼ばれるようになっていく、地域の救世主となっていける。

アフターコロナ、ウィズコロナでやるべきことは、自らを高めていくことに他ならない。熟練や経験、学習は決して裏切らない。国家資格化に向けた動きもあるが、そのためにもスキルアップしていかねばならない。国家資格になった時の条件などについては、カイロタイムズ編集部が対応してくれるので、自分が何を今学んでおけば資格取得に繋がるのか、何を学んでおくべきかを問い合わせたら良いだろう。


コロナウイルス感染拡大時の経営(121号掲載)

今回は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、急遽内容を変更してお伝えしようと思う。

まず「〇〇がウイルスに効く」などの様々なデマが飛び交うと思うので、健康に携わる専門職として、医学的に正しい情報を発信するようにしてほしい。具体的にはWHOや厚生労働省が発表する内容にも注意を払い、出所のわからない情報に惑わされたり発信することはしないようにしよう。

さて、今回の外出自粛などですでに多大な影響を受けている治療院も多いと思う。国の調査ではすでに倒産してしまった会社がいくつも出ている。収束時期も見えずに長期化する恐れもあり、経営について悩んだり、廃業がちらっと頭の中をかすめたりすることもあるだろう。

そんな時、頼りになるのが補助金、助成金、融資の類だ。現在で利用可能そうな助成金は、まず「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」だ。2月から3月の休校によって休んだ場合に賃金相当額が助成されるというもの。雇用スタッフがいる場合は、「新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コース」、業務委託などのスタッフの場合は「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」が適用になる。

他には社会福祉協議会が行う「生活福祉資金貸付制度の拡大」がある。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業や減収で生活資金に悩んでいる世帯であれば、社会福祉協議会の窓口で面談した当日に借り入れ申し込みを行い、20万円(状況によっては10万円)を1年間返済猶予付き、無利子で借り入れることができる。状況次第では返済も免除されることもある。少額だが、すぐに手元に現金が入るので、一時的に助かる人もいるだろう。融資だと「セーフティネット」が2億8千万円まで「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は実質金利がゼロなので使いやすいだろう。あとは手続きが煩雑になるが状況次第では「雇用調整助成金」が大きい。休院にして研修をすれば助成金が出たりもする。

本来は売り上げを上げて助成金や融資に頼るべきではないのだが、今回ばかりは患者さんは治療院に来院できないので仕方がない。

通販やオンラインを実施していない場合は積極的に国の制度をうまく活用していってほしい。(2020年4月20日現在の情報なので、新情報を常にチェックしていくことをオススメする。)


国家資格に向けた新制度とビジネスチャンス(120号掲載)

カイロプラクティック制度化推進(準備)会議がずいぶんと進展してきているようだ。この会議は数年前から国家資格化に向けて動いており、実際に私も2度会議に参加させてもらった。厚生労働省医政局が積極的に参加して毎回有難いアドバイスをしてくれている。消費者庁や医師のアドバイザーも参加している。 

私がこの紙面で担当しているのは経営セミナーであるのだが、この国家資格化に向けた一大変革は先生方の経営において大きな転換をもたらす。 

まずあなたがこの国家資格化の流れに入っていけるのか、それとも除外されてしまうのか、によっては天と地ほどの大きな違いだ。 

現在は整体も含めてカイロプラクティック事業者は玉石混交の中で、国民がどの先生を選んでよいのか全く不透明だ。その結果、未熟だったり、不勉強や知識不足な先生にあたってしまい、健康を害する事故も多発しているのは周知のとおりだ。国としてもこの部分を放置し続けるわけにはいかず、そのためこの取り組みにはとても協力的だ。そのことを考えると、国として「この資格を持っている先生を選んでください」とアピールすることで事故を減らすことができる。 

厚生労働省による2019年11月14日の第8回検討会資料で新しく「非医業類似行為」という文言が登場したことも今回の制度化推進会議は、日本で資格化ができるとしたら最後のチャンスになるだろうと言われている。そのせいか業界のごく一部を除いて、ほとんどすべての団体が参加や協力を表明している。すでにカイロプラクティックの学校を卒業している先生たちを中心に、それまでの取得単位を認めて、近いうちに2,000人の資格者を認定する計画だ。もうすでに12月1日から資格受験の団体登録が始まっている。 

団体の運営者になっている人は、所属員で資格取得を希望する人のリストを制度化推進会議に提出をする。団体に所属している先生は、団体として申し込みを行ってほしい。団体に属さない個人の申し込みはまだ少し先になるという。 

詳細については推進会議事務局もしくはカイロタイムズ編集部まで連絡をすれば対応してくれるようだ。 

業界や国や制度が変わるときは、とても大きなビジネスチャンスだ。これらの機会を逃さずに時流に乗り事業展開をしていってほしい。ちなみに会議に参加したい人もオブザーバー参加は事前に申し込みをすればできるので、興味のある先生は連絡してみてほしい。 

カイロプラクティック制度化推進(準備)会議 

カイロプラクティック制度化推進サポーター募集 


消費増税への対応のポイント(119号掲載)

今回は、消費増税に関わる対応についての質問が多かったのでそれについてお答えしよう。10月1日から消費税法が改正され消費税が10%となっているのはご承知の通りだ。

まず私たちは、全て消費税を消費者に転嫁しなければならないので、基本的にはどの先生たちも施術院で頂く料金はアップしていることと思う。

金額表示は2021年3月までは消費税転嫁対策特別措置法により総額表示でなくてもよいことになっている。

確定申告の際も10月1日以降の分は10%で納税することになる。それと同時に軽減税率制度が実施され、食品等に該当する物を取り扱っている場合は、それらに関しては8%の軽減税率が適用される。カイロタイムズの読者の先生の多くは、海外のカイロプラクティックに倣って、来院者の健康をさらにサポートするためにサプリメントを取り扱っていることと思うが、サプリメントは健康補助食品と明記されているため、食品扱いとなるため多くの先生たちはこの対応が必要になるだろう。同じ8%でも国税と地方税の内訳の割合が違うため、今までと同じ経理処理では間違えになってしまうケースがある。

税務書類への記帳方法やお客様へのレシート表示などが規定されているため、新しい制度をしっかり理解していないと大変だろう。もちろん税理士に相談する、もしくは丸投げという方法もある。この辺りが制度として最低限対応しなければならないことだ。

来院者のことを考えるとさらにキャッシュレス消費者還元事業への対応が必要だ。これは現金以外の決済方法を国が推進しているため、クレジットカードやICカード決済、スマホ決済と言われるQRコード決済などで代金を支払った場合、国が概ね2%、もしくは5%程度を消費者に還元する事業のことだ。つまり来院者がキャッシュレスで支払った場合は5%が返ってくると思っていい。

決済方法によって返ってくる上限金額や条件や方法はまちまちだが、この制度の恩恵を受けるためには事業者が国へ登録をしなければならない。登録した上で、開始日が決まるのでその日以降のキャッシュレス決済について還元が適用される。国が行っている事業のため、期間厳守で1日でもずれると適用されないということだ。

重要なポイントは、国民もこの制度をよく知っているということだ。この制度があるから、2014年の5%から8%への増税より、今回の増税の駆け込み需要での売上の変動が少なかったとされている。ということは、国民がこの制度へ関心を持ち、事業者がキャッシュレス消費者還元事業へ登録しているかしていないかによって、買い物やサービスを受ける事業者を選ぶと言うことだ。

もしまだ登録手続きをしていない先生がいたら、早急に進めてもらいたいと思う。

今回の増税で廃業する事業者がとても多いことが連日報道されている。本紙読者の先生たちは、そうならないように対策を取って頑張って事業に精を出していってほしいと願う。

詳しい内容は、経済産業省のホームページでご確認ください。


SNSの効果的な使い方とは・・・(118号掲載)

今日は最近質問の多いSNSの活用についてのワンポイントアドバイスをしたいと思う。

Facebook、Twitter、LINE@、ブログなど、これらは無料で社会へアプローチができるツールとして流行しているので使っている先生も多いと思う。「フェイスブックというのはどこに売っている本ですか?」と質問されたこともあるがそれは論外として、治療家でSNSをうまく使っている先生というのはあまり見かけない。むしろもったいない使い方をしている先生が多いと言える。

ワンポイントアドバイスのキモの部分をいきなり話してしまうと、SNSの効果的な使い方は何かと言えば「関係性作り」という一言に尽きる。

以前はSNSでいきなり集客や販売をすることができていた時代もある。ところが今はそれがなかなかむずかしい。

もちろん不可能ではないのだが、実際に私もたまにチャレンジしてみると、集客数は以前と比べると1/10以下となっている。さらに複雑な細かい設定をそれぞれにしなければならないので、やはり難しくなっていると感じる。

さて、どうしたらよいのかというと、SNSの活用目的を「関係作り」と明確に絞ってしまうことだ。

あなたは誰かから物を買うときに、何者か分からない怪しげな人から買うのか、どんな人物かわかっている売り手から買うのか、どっちだろうか。答えは明らかに後者である。どれだけ素晴らしい考え方を持っていても、それだけ素晴らしい技術を持っていても、それは周りに住んでいるほとんどの人は知らない。

あなたがどんな人か分からなければ、周りから見れば「何者か分からない怪しげな人」と何ら変わりはない。でもあなたがどんな人物で、どんな得意分野があって、どんな実績を持っているのか、そういったことをSNSで情報開示していたとしたら、周りの多くの人があなたのことを知っていることになる。総務省の発表によると現代は10年前と比べて529倍の情報量にアクセスできるようになっている。これだけたくさんの情報があるのだから、ただ待っているだけではあなたの情報は間違いなく同業者の情報に埋もれてしまうだろう。そこを積極的に開示してSNSで発信していってみよう。そこからすぐに来院には結びつかないかもしれないが、数ヶ月もすれば効いてくる。

発信した後に集客へと繋げていく仕組みが必要になるが、それはまた別の機会にお話ししよう。まずはSNSを使って情報開示をしていってみてほしい。


最近の振り返り(117号掲載)

【安全施術講習会】

前回のコラムで述べた安全施術講習会が神戸会場・東京会場で実施され、著名な2名の医師による医療倫理の講演と共に、安全な手技に関する講話が行われた。

私も技術講義を担当させてもらったが、多くのカイロプラクティック事業者が参加し、スキルアップや安全意識の向上に繋がったことだろう。

こういった安全に対する取り組みが行政や社会からの要請で行われていることを、すべての本誌読者は知っておくとともに、この時流に乗り遅れないようにしてほしい。

今回も受講者は、安全への取り組みを実施した事業者として厚生労働省へと報告を行うとのこと。

今後、安全への取り組みがなされていないカイロプラクティック事業者は淘汰されていくことだろう。

日本カイロプラクティックエビデンス研究会(委員長:小野寺靖Ph.D)に報告される臨床レポートを見ても、安全施術講習会をしっかり受講している先生たちのレポートや論文が並んでいる。

いまだに画像による検査もしなかったり、くりかえしのトレーニングをしないような安全性への取り組み意欲の低い先生たちも国内には多く存在しているのが残念でならない。早急に業界の意識変革をしていく必要があるだろう。

【パーカーセミナー】

さて、先月はアメリカで開催されたカイロプラクティックの祭典であるパーカーセミナーに参加してきたので、その体験をお話ししようと思う。

パーカーセミナーは、米国パーカー大学が中心となって実施しており、世界中からカイロプラクターが参加する歴史あるセミナーだ。

その年に最もカイロプラクティックに貢献した人に贈られる「リーダーシップアワード」を、日本人で一般社団法人KCS代表の桑岡俊文Ph.D(健康科学)が受賞され、世界中から称賛されたのもまだ記憶に新しい。

セミナーには日本ではあまり関係のない保険請求に関するものもあるが、カイロプラクティックアシスタントのコース、DCテクニックのコース、哲学のコースなど多面的に展開され、参加者は自分の好みのレクチャーやクラスを受講する。

カイロプラクティック免許の更新要件の時間数にもカウントされるセミナーであるが、内容は非常に面白いものばかりだ。

開始前や休憩時間には朝食やコーヒー、バーラウンジでアルコールも振舞われ、世界中のカイロプラクターと親交を深めることもできる。

メインのセミナー会場のほかにも、家電見本市(CES)の健康産業版のようなエキスポがあり、そこにはたくさんのカイロプラクティックに関わる新商品、売筋商品、ユニークな商品の紹介ブースもある。

今年の傾向は、レントゲンやカイロプリントのような分析装置とフィットネス関連の機器、そしてベッドなどの寝具が多く、世界各国ではどんどん「セルフケア」と「高度な専門ケア」を組みあわせて健康を増進していく流れになっているのを感じた。

「セルフケア=エクササイズやフィットネスと睡眠環境」と「高度な専門ケア=高度な分析に基づく安全かつ効果的な手技」と考えられ、このあたりが今後、日本でもどんどんと流行していくのだろうと考えられる。

アメリカで起きていることは数年で日本にも起きるといわれているし、近年はその傾向はもっと顕著になっているから、世界情勢や国民の意識変化にもアンテナをしっかりと張っておくことが必要だろう。

また、会場であるラスベガスの街も、とても学びが多くあるところだ。世界で「最もリピート率が高い」と評される街であり、様々な工夫が凝らされている。これはまた別の機会にお伝えできればと思う。来年も私はパーカーセミナーに参加する予定でいるので、もし一緒に行きたい先生がいらっしゃれば、カイロタイムズ編集部までご一報を。


2019年は患者数を増やす年に!(116号掲載)

今年も経営講座では治療院経営で押さえておきたいポイントやノウハウをお伝えしていきますね。

以前、リスクヘッジのコラムを書いたが、それに関連して2019年3月に国内2つの厚生労働大臣認可事業協同組合が共同主催で「安全施術講習会」を開催するとの情報を得た。

これは、カイロプラクティック事業者はみなさん受けておいた方がいいだろう。なぜなら、これからの時代、我々の業界におけるテーマのひとつが「安全性」であるからだ。

正規の教育を受けずに短期セミナーで技術を覚えた「自称カイロプラクター」が横行し、整体での事故や危害がどんどんと増えている。「安全施術講習会」を受講した先生は、受講履歴が記録として残ることと、厚生労働省に名簿を提出するとのことなので、協同組合という団体が安全性への取り組みを証明してくれることとなる。これは事故が多い中での強みとなってくれるだろう。

さて、今日は「患者さんを増やすにはどうしたらいいでしょうか」という質問が多かったのでその話。

患者さんを増やすと聞くと、多くの先生は新規患者を集めることを考えます。ところがこれは間違い。これをやっている限りはその先生の患者さんが増えていくことはないだろう。一時的に増えたとしても、またすぐに減少するだろう。ではどうすればいいのかと言えば、まず「患者数」は何で構成されるかを考えてみよう。さっさと答えを言ってしまえば「患者数」は次の式で計算することができる。

「患者数」=「新規患者」+「既存患者」-「流出患者」。

これを踏まえて考えれば、実は新規患者を集める前に、既存患者へのフォローと流出患者の防止の対策をしておかなければならないということがわかると思う。

たとえどれだけ新規患者を集めても、前述のことが不十分であれば、それこそザルのようにこぼれていってしまうことになる。

このことを踏まえて、2019年は既存患者のフォローと流出患者の防止の対策をしっかりと考えて、先生の患者さんを増やしていってほしい。合わせて、我々の業界における重要なテーマ「安全性」を証明するために、安全施術講習会も積極的に参加をしいていくことが大切だ。


繁盛する開業場所は~商圏調査~(115号掲載)

前回の保険についての記事は賛否両論の意見を頂いた。どうやら整体師で保険に入るのを断られるということがあったようだ。

加入の受け入れは保険会社が決めるので、正規のカイロプラクティック教育と違って整体だと事故のリスクが高いとみられた可能性が高い。

大学教育となっている姿勢調整分野(姿勢科学など)では保険加入は認められているので、「安全性が担保される=教育をしっかり受けている」というのが社会的な見解である可能性が高い。

私が登録されている専門家プロファイル(旧オールアバウト)でもカイロプラクターとしての掲載はWHO国際基準の教育をクリアしている先生のみであり、基準クリアしていない先生は掲載できないように規定で決まっているとのことだったので、正規の教育を受けていることは安全な施術の条件だったり安心の材料であることは間違いないだろう。

さて、今日は「商圏調査」についてお話ししようと思う。治療院・施術院を開業するときに、あなたは商圏調査をしただろうか。

私が経営コンサルタントをしていたときには、どの業種でも開業時には商圏調査を重視していた。ところが施術院の業界では不思議と商圏調査をせずに開業している場合が多いのだ。雰囲気で何となく良さそうなエリアで良い物件が見つかったらすぐに開業を決めてしまうのだろう。

そこで「商圏人口はどれくらいですか?」「平均年収はいくらですか?」「人口増加はどれくらいですか?」と質問をすると沈黙が返ってくる。

ちゃんと調べてないな・・・と直感が言っている。そこでしっかり調べてみると、思っていたより人口が少ない、とか、高齢化が進みすぎている、逆に10歳未満人口が極端に多いなど思い込みで、想像していた予想と実際の数字のギャップがあることがほとんどだ。

そうはいっても商圏調査を外部会社に依頼すると高額な請求が待っている。もちろん調査に加えてそれなりの分析や施策の提案はしてもらえるだろう。

でも知らない人が多いが実はこれらの数字は割とカンタンにウェブサービスで調べることができるのだ。

有料のサービスだけでなく、無料で調べることができるサービスもある。

例えば、商圏2kmには「人口が145,565人」住んでいて「世帯数が81,615戸」あるというような、開業場所の判断をするための数字を簡単に得ることができる。

先ほどの「人が多そう」「収入が高そう」「人気の地域」というみんなが気にするポイントは、専門的に言えば「商圏人口」「年収別世帯データ」「未来人口」という分析の上では非常に重要なものだ。これらのことをまず調べてみて欲しい。どれくらいの範囲を調べたらいいかを聞かれることがあるが、商圏のイメージは、ターゲットが徒歩であれば500m、自転車であれば2km、自動車であれば2km以上、という位を目安にするといい。ぜひこれらを使って今の自分の治療院を調べてみたり、開業地の選定をしていく参考にしてみてはいかがだろうか。


億単位の損害を回避する(114号掲載)

以前「安全性の確保」についての寄稿をしたことがある。施術による事故が絶えずメディアを賑わし、被害者が続出している中で、倫理観のあるまともな先生たちが中心となって、業界を挙げて安全への取り組みをしている。

私も厚生労働省の職員と共に危害防止のための講演をして、危険な技術の使用禁止などの注意喚起を行ってきた。認められた業務範囲を超えて臨床をしてしまったために事故が起きるのはもちろんだが、技能や知識が低いことも事故が多発している原因だ。

たとえば、医師になるには6年間の大学と2~3年間の研修期間が必要であり、9年間も学んで開業している。

正規のカイロプラクターはそれに近い修学期間があるが、我々の業界には、わずかな期間で開業をしている先生の方が圧倒的に多い。

9年も学んだ医師でも医療ミスは起きるのだから、そこまで学んでいない我々の業界では事故は起きるべくしておきていると言える。これは国家資格を有している柔整師や鍼灸師も同様だ。国民生活センターに被害報告が上がっているのは、無資格者だけでなく接骨院や鍼灸院で発生している被害が非常に大きな割合を占めている。

カイロプラクティックではご存じの通り、大学の教育プログラムが存在しており、WHOガイドラインで基準を規定しているが、その存在を知らない治療家も数多いだろう。

さて、私は多くの先生達にここでしっかり勉強をするように述べたいわけではない。気持ちはそう思うが紙面も限られるため、それは別の先生に任せるとして、私がお伝えしたいのは、もし「事故が起きたときにどうするのか」ということだ。

経営を考えた場合、常にリスク回避は重要だ。そして加えて言うならば「回避しきれないリスク」もあると想定せざるを得ない。

もし事故が起きたときに助けてくれるものは何だろう。

もし患者さんへの施術によって肋骨骨折などを起こしてしまったとしたら、多額の治療費と損害賠償請求がされたらあなたならどうする?

そう、こたえは「保険」だ。治療家をしていて保険に入っていない先生がいることは全くリスクをわかってないと言わざるを得ない。

そして患者さんのことも大切に思っていない。もし億単位の損害を患者さんに与えたとしたらあなたは払えるか。払えないとしたら、それは患者さんに迷惑をかけることになる。億単位の損害賠償を払えないのなら、保険は加入すべきだ。

先生個人の臨床経験や教育課程によっては保険会社から加入を断られることもあるかもしれないが、それでも保険を探して加入すべきだ。それが経営上のリスクヘッジになる。

もちろん色々な保険があり、会社によってカバーできる範囲も様々だ。私がこの紙面上で、どこの賠償保険が良いといったような一部の保険会社に肩入れするようなことは書くことができないので、まだ保険未加入な先生がいたら、早めにいろいろな保険会社へ問い合わせてみることをおすすめする。保険の内容は年々変わっているので急ごう。


成功の大原則(113号掲載)

前回の「ブランディング」についての記事はとても興味深かったとの声が多かったですね。さて、今年が始まってもう4ヶ月が経ちました。

みなさん着々と目標達成に向かっているとは思いますが、今日は施術家や治療家が成功するための大原則をお伝えしようと思います。

我々治療家に入ってくる収入源は患者さんの払ってくれる施術代です。保険診療をしていて国保連などからのレセプトが収入の先生もいるかもしれませんが、これも最終的には患者さんが支払う代金を保険が一部負担しているだけなので、結局は患者さんの支払う治療費が収入となります。そう考えると治療家の収入を向上させるための方法は限られてきます。実際に「あなたはどうしたら治療家として収入が増えて成功すると思いますか?」と質問すると「新規の患者さんを増やす」という答えが返ってくることが多いです。新規患者を増やすことが一番はじめに思いつくでしょうし、実際にこれをがんばっている治療家も多いと思います。しかし、それをいくらやってもなぜかちっとも収入は増えず、いつまでも大変な思いをしている治療家の先生も多いですよね。それはいったいなぜなのか。簡単に言えばそれだけでは収入を向上させて成功するには不足しているのです。実は、売上を増やすためには忘れてはならない普遍的な大原則があるのです。

その成功の大原則とは何か?

それは次の公式のことです。「売上=患者数×単価×来院回数」です。

例えば、月に300人の新規客が来て、その治療代が1人5,000円で1回しか来なければ、売上は150万円になります。もし全員が2回来てくれれば、300万円になります。

単純な計算ですが、これを見落としてしまっている方も多いのが現状です。今のあなたの状況はどうでしょうか?

現況をしっかり把握し、まずは弱いところを強くする(増やす)ことをしていくと良いでしょう。どれが1つでも低いところがあれば、収入を増やして成功を収めることは難しくなります。まだあなたが駆け出しの治療家なら、新規患者さんを増やしていくことに力を入れると良いでしょう。

「単価」についてですが、これはお店でいえば「客単価」です。メイン商品である治療費を上げるのもひとつですが「商品販売」も単価を上げる方法です。患者さんが良くなるための治療院なのですから、良くなるために必要な商品があれば勧めればいいのです。そして、来院回数=リピート率を上げること、ここが出来ていない先生も多いのではないでしょうか?しかし、ここにこそ成功の鍵があるのです。

改善のために、そして健康な状態を維持するために患者さんは来院します。でもそれだけでは足りません。患者さんに自分のファンになってもらうことが必要なのです。

300人の新規患者を作るより、同じ患者さんが月に2回来院する方が簡単だし、実は一番早いのです。今一度、あなたの状況を確認し、弱いところがあれば改善していきましょう。あなたの目標に向かって着実に進んでいくことが大切です。


ブランディング(112号掲載)

2018年あけましたね。今年もどんどん経営ノウハウをお伝えしていきますので楽しみにしていてください。

今回は「ブランディング」についてお伝えします。聞きなれない方もいるでしょうが、実はこれもよく問い合わせを受ける内容になっております。とは言っても「ブランディングってした方がいいですか?」、「ブランディングってどうやるんですか?」などの基本的な質問が多いですね。

ブランディングをやったほうがいいかと聞かれれば、それはもちろんやったほうがいいのですが、まずその理由から。ブランディングというのは、簡単に言えば「有名になる」ということです。

我々の業界では、有名な先生=実績のある先生=信頼できる先生と認知されやすい業種でもありますから、他の業種に比べてその効果は大きいわけです。

例えば、テレビにも出ている有名な先生と、どこの誰かもわからない先生とだったら、信頼感は全然違います。

もう少し詳しく言えば「その道の専門家として認知される」というのがブランディングの本質です。

なので「腰痛と言えば〇〇先生」「スポーツ障害と言えば○○先生」というように地域や住民に認知されれば、その効果は絶大ですよね。

さて、そんな効果の大きいブランディングをどうやるのかという具体的な方法は、本当に様々な方法がありますので、この紙面では答えきれないのが正直なところではありますが、基本的にはメディアを使ってブランディングを確立するのが王道と言えます。

メディアというのはテレビ出演、雑誌や新聞掲載、書籍出版をするなどですね。これらのチャンスがある先生は、ぜひブランディングを意識して実施してみてください。

また最近では、インターネットを使ってホームページやSNSを活用する例も非常に多いです。

これだとお金も時間もかからずに手軽に行うことができるので、まずはこれらを使ってブランディングにチャレンジしてもよいですね。

注意点として、それぞれの媒体ごとにブランディングをする方法は随分と違います。どの媒体でも同じことをやっても効果は半減してしまいます。

1つの媒体のブランディング手法だけでも本が1冊書けるくらいのボリュームがありますが、まずはホームページやSNSを使って2018年のブランディング戦略を実行してみてください。

余談ですが、昨年からカイロタイムズを読みましたと美容院やピアノ教室の先生から直接の問い合わせが何件かありました。内容は、「紙面にあったノウハウをもっと詳しく知りたいです」とか「井元先生のコンサルを受けたいです」など様々。

異業種から学ぼうという姿勢は素晴らしいです。私がこの業界でありえない結果を出し続けているのは、通販業界やテレアポ業界、社員研修や教育産業などの成長している異業種からたくさん学んで、それを院経営に取り入れていったからです。

みなさんも2018年はぜひ異業種から学んで有機的化学反応を起こしていってくださいね。


SNSは集客に有効なのか?(111号掲載)

「今はこのSNSがすごいらしい。」というSNS絡みの話は今この瞬間にも至る所でされていると思う。私もよくクライアントの方から、「フェイスブックはまだ始めてないのでそろそろやった方がいいですか?BOTはどうですか?」「今はラインが良いと聞いたのですが、やったほうがいいでしょうか?」というような質問をされることがある。

それこそ私がマーケティングを手掛けるようになってもう15年になるが、新しいツールが登場するたびにそんな質問をされてきた。私自身は、もう10年も前にミクシィやツイッターなど、SNSの出始めた頃から、それらに目をつけ自ら取り組んでみて、インターネットマーケティングとして活用できるかを検証してきた。そして確かにどのツールもそれなりに大きな可能性は秘めていたし、良いものも多い。実際に集客にも使えたし、ファンづくりや口コミを引き起こすことにも使えたのは間違いない。患者数も増やせる、広告費を削減もできるし、効率的な経営を実現することも可能だ。そんな夢のようなツールがSNSであると言える。これから先もどんどん新しいプラットフォームやツールは出てくるだろうと思う。

そしてその度に「これからは〇〇をやった方がいいですよ!」というように先駆者的な人が出てくる。

それ自体を否定する気はない。新しいツールを使うのは悪いことではないし、そういった先駆者的な人たちのおかげで新しいツールは広がっていく。ただ、これからの時代、新しいものが出てくる度に先駆者的な言葉に振り回されるのって大変だと思う。「先行者利益」と言われれば、急いで始めなければならない錯覚にハマってしまう。流れに乗らなければ損するような脅迫観念にも似た気持ちになってしまう。それが数年毎にやってくる、いやいや年に何回もやってくるから疲れ果ててしまうだろう。

では新しい情報が出た時に、それを取り組むべきかどうかの判断はどうすればいいのか。それは「自分のビジネスにとって本当に必要かどうか」必要であれば「どう組み込み何の役割を担わせるのか」というビジネスの全体像を見据えて考えることが最重要だ。自分が叶えたい全体像によっては同じフェイスブックの使い方でも、見込み客を集めるのに使うのか、それとも患者コミュニティをつくるのか、情報公開をしてブランディングに使うのかによって投稿する内容は全く違ってくる。

この機会に、自分のビジネスの全体像と、それぞれのSNSが担うべき役割について考えてみてはどうだろうか。くれぐれも注意したいのが、多くの人が口にする「流行っているから」とかという基準で判断することは極めて危険であって、あなたはそんな暇人ではないはずだ。今業界を挙げて「安全性の確保」へ取り組みがされているが、そういったものはとてもSNSでは拡散されやすい話題だ。安全施術講習会へ参加すれば、自分の技術の安全性の確認になるし、SNSを通じて周囲へのアピールにはとても有効だろうと思う。


新規患者を増やすべきか否か(109号掲載)

最近割と多く受ける相談に「このところ新規患者が減って困っています。井元先生、なんか解決策ないですか?」というものがある。どうやらここしばらく、新患さんが減ってきているのだというのだ。あなたの所も、もしかしたらそう思ったことがあるかもしれない。

さて、ここで3択の質問です。この先生が言っている「減ってきて困っています」という問題だが、これの解決のためにはどれくらいの労力をかけるべきだろうか。

 ①すべてに最優先して解決すべき。

 ②他にもやるべきことがあるので、少しずつ解決していく。

 ③しばらく放置しても構わないので、気にしない。

さてあなたはどれだと思うだろうか。では、これは考えながら次に進んでいこう。

実は、こういった質問をしてくる先生は、経営的にある程度うまくいったことがある場合が多い。最盛期の新患の数が頭に入っていて、そこから減ってくると異様に不安になってくる。経営者としては当たり前だ。だがこれは、非常に危険な「恐れの選択」をすることにつながる症候群のひとつだ。私たちの仕事というのは、新患がいなければ来院数は減っていく。それは痛みがなくなり悩みが解決され、治療を卒業していくからだ。または逆に、痛みが変わらない、効果がない、と思われても来院しなくなるので減っていく。必ず減っていく宿命にあるのだ。だから新患が減ると不安になるのだ。

では、先ほどの質問の答えは、①なのかというと実はそうでもない。では②なのかというとこれも違う。では③なのか?というとこれも違う。この答えはある数字を見てみないと決して出ない。その数字は「総来院数」だ。新患を含めた総来院数と新患の割合のバランスを見ておかなければならない。その数字によって、新患を集めることよりも先に、既存患者のケアやアフターフォローに力を注がなければならない場合もある。そうしなければ、新患を集めたとしてもまるでザルに水を流し込むように、リピートせずに消えて行ってしまう。つまり総来院数により①か②か、はたまた③かが決まるということだ。あなたの治療院の総来院数と新患の数字、この機会に見つめなおしてみてはいかがだろうか。


「法人化か個人事業主か!」(108号掲載)

私たちカイロプラクティックに関わる人は、自分の身体ひとつで開業ということが多いですよね。もちろん最近では、人を雇って店舗を運営していく、という考えで開業する先生も増えてきましたが、まだまだ少数です。人を雇うかどうかは別として、しっかりと会社を設立(法人化)して社長となっている先生もいます。私も複数の会社を経営しています。果たして会社を設立すると何かメリットがあるのでしょうか。そこで今回は、「法人化か個人事業者のままか」という、よく受ける相談内容についてお答えします。

法人化とは、個人事業者が会社設立をして事業母体を個人から法人へ移行することを言います。たったそれだけで事業主だった先生は「社長」となってしまうわけです。ではそのメリットは何か。それはズバリ金銭的なメリットです。その中心となるのは「税金」です。他にもメリットはありますが、通常言われる社会的信用や販路拡大、事業継承などは私たちにはあまり関係がありません。では具体的に税金のメリットが大きいというのはどういうことでしょうか。

まずは税率です。個人事業主だと事業所得として超過累進課税で最大45%の税率です。法人だと25%程度です。仮に課税所得が約二千万円であれば、その差は約三百万円にも上ります。単純に法人の方が払う税金がとても安く済むのです。社長の給与所得は経費なので法人の利益を圧縮できます。さらに自分の報酬には給与所得控除が使えます。そして最初の1年と課税売上高が一千万未満の場合は消費税の免税事業者となり消費税の支払が免除されます。退職金を損金にすることも出来ます。個人事業主だと経費にはなりません。法人だと生命保険料も全額損金に出来る場合もあります。個人事業主だと最大12万円までです。

このように大きなメリットがあるわけです。よって私は、法人化をお奨めします。でも、デメリットもあります。設立時に登記費用などが必要になったり、赤字でも法人住民税の均等割負担が生じます。会社法に則って会計処理をする為、帳簿や税務申告書の作成等、事務処理の負担も増加します。社会保険や労働保険の手続きもあります。大切なのはデメリットも考えた上で法人化をするということです。まだ、個人事業主の先生は、法人化を目標にしてみても良いかもしれませんね。


厚生労働省の不正受給対策強化による影響とは(107号掲載)

10月9日、各紙が報じた療養費の不正請求対策強化の報道、皆さまも既にご存じかと思います。今年に入って柔道整復療養費検討専門委員会により「部位転がし」は明らかな不正であることが確認されてからのこの急展開だ。

今まで個別の行政指導はあったが、基本的に放置されてきたと言える問題に厚生労働省がやっと本腰を上げて対策に乗り出した。毎年約4000億円程度が医療保険から支払われているが、その中に不正請求はどれだけあるのか。毎年5千人前後が合格している柔道整復師。この急増により接骨院は10年間で2.5倍に増加した。昔は開業すれば、年収1000万と言われていたが、今は300万程度の先生も多い。こんな過当競争の中で療養費の不正請求が横行しているのだ。

厚生労働省は来年度から、不正の疑われるケースはカルテや受付簿、領収書の発行履歴など関連資料の提出を義務付ける。疑われれば過去5年まで遡って調査されることになり、今までよりもずっと厳しい処分が待っている。肩や腰など部位を変えて施術していく「部位転がし」で収益を上げてきたり、白紙の申請書を悪用した架空請求をやってきた一部の接骨院にとっては死活問題だろう。そもそも私は、保険依存からの脱却をするべきということをお伝えしてきていたわけだが、亜急性外傷についても保険請求が出来なくなる可能性が高いので、まだまだ療養費の請求が多い先生は早めに自由診療に転換していくことが必要だ。

最近のマスコミによる不正・架空請求問題の報道や国民生活センターの接骨院における事故調査報告はここに結びついていた伏線だったことが分かる。近いうちに各都道府県の厚生局、保健所、柔整審査会、各保険者に通知が送られるそうだ。詐取した療養費が暴力団の資金源になっていたという事件もあったから社会の注目度も高い。不正をしていた先生達には、そろそろ襟を正して、国家資格に胡座をかかず、患者さんに向き合っていって欲しいと思う。

カイロタイムズの読者はカイロプラクターの先生が多いと思うので、そもそも保険を使っていないだろうが、これから6万人の柔道整復師が国家資格を持って同じ自由診療の世界に入ってくる日も近いかもしれない。

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