Dr藤原の整顎コラム

藤原 邦靖DC



顎関節専門カイロプラクターがいないのはなぜ?

上部頸椎専門カイロプラクターは世界中にいますが、顎関節専門ドクター・オブ・カイロプラクティックというと、ほとんど聞いたことがありません。顎関節は反復運動が多く、毎日の会話や食事の際に関わる重要な領域なのになぜでしょう?私は常々疑問に思っています。

あくびをしたときに首に痛みを感じたり、朝起きた時に後頭部がこわばって疲れていたりする原因は、頸椎だけの問題と言い切れるでしょうか。私も上部頸椎に関しては、経験を積むほど奥深い領域だと実感していますし、日々の臨床で重要視しています。必要に応じてアジャストメントを加えますが、顎関節に問題がある患者さんは上部頸椎にもサブラクセーションを起こしていることが多いです。ただ、そんな場合に上部頸椎を優先して調整すべきかというと、必ずしもそういうケースばかりではありません。施術の始めに検査したときに上部頸椎にサブラクセーションが検出されない場合でも、顎関節を調整した後に再検査すると、高頻度で上部頸椎サブラクセーションが見つかることを私は日常的に経験しています。顎関節と上部頸椎のどちらが一次的症状で他方が二次的症状かは「卵が先か鶏が先か」の例えと同様に悩ましいテーマです。簡単に答えが出る議論ではありませんが、解決策はシンプルです。顎関節と上部頸椎の両部位を丁重に扱い、どちらも慎重にアジャストメントすれば良いだけです。

重要な関節なのに顎関節を正しく検査・触診し調整できるカイロプラクターがほとんどいないのは残念なことです。患者さんがアゴの違和感を訴えても、多くの場合はフェイシャルマッサージや表情筋トレーニング、顔まわりのストレッチ、ボトックス注射など、分かりやすい対応策に逃げている施術師が多いのが現状です。その理由は、脳神経の影響を受け3Dで動く顎関節は複雑系だからでしょう。ちゃんと調整しようとすれば、専門知識が必要ですし、技術としての検査体系を体得する必要があるからです。つまり「よく分からない」「面倒くさい」から放置しているだけですね。

厚労省の実態調査によれば、全国で約2千万人の人がアゴに何らかの悩みを持っています。これはコロナ禍以前のデータですから、マスク生活が状態化した現在は歯ぎしり・食いしばり癖の増加から更に多くの方々がアゴ難民として病院めぐりをしていることが、過去記事で述べたアメリカの事例からも容易に想像できます。マーケティングの観点からいえば、見過ごされたニッチマーケットでもあります。もしご興味があるならこちらから無料ウェビナーをご受講ください。

https://webinarkit.com/webinar/registration/62188bac24afdaf75e36ad51


カイロプラクターが盛業するための3つの方法

カイロプラクターが事業を運営するとき、時間は最も貴重な資産だといえます。コロナ禍で、ほぐし業は大打撃を受けましたが、考える時間はこれまで以上に豊富にあります。これを機会に、ほぐし屋さんから脱却するための方法を考えてみてはいかがでしょうか?コロナ禍において、カイロプラターとして成功するためには3つの方法があります。

1)自分の強みをリストアップする。

2)好奇心を持ち続ける。

3)周囲の人にアドバイスを求める。

この3つの視点を持てば、カイロプラクターとしての原点を取り戻して盛業へと方向転換することができます。例えば私の場合、1番目と2番目は、前職のデジタル業種の経験を生かしてコロナ禍にDX化を推進できたことや「顎関節専門」という強みを更に発揮できたことが挙げられます。3番目については、相談先がないアゴ難民の患者さんから悩みを吐露していただいたこと。そして、近しい歯科医師からアドバイスをいただきながら、歯科業界との連携に拍車をかけることができたことが挙げられます。「カイロ業界」という狭い世界にとどまらず視野を広げると、新しい展開が待っています。年末に「歯科×整顎」連携というテーマで姿勢に関するセミナーをしたところ、平日の夜にもかかわらず160名を超える歯科医師や治療家から申し込みをいただきました。アメリカ歯科医師会が発表しているとおり、コロナ感染拡大以降、歯科医師の70%が歯ぎしり・食いしばりなど、顎関節ストレスが増加したことを報告しています。歯科の先生も顎関節症には手を焼いており、カイロプラクターとの地域連携を模索しています。私がその橋渡し役になれればと決意を新たにしました。人生において、痛みや心身ストレスに苦しんでいる人を助けること以上に光栄なことはありませんし、その好機は今を置いて他にありません。コロナ禍でストレスの多い状況を乗り越えること、あるいは慢性的な健康問題に対処すること以上に価値があることがあるでしょうか。カイロプラクターが目的を失ってしまえば、アジャストメントがどれだけ上手にできても、社会貢献において全く意味がありません。もちろん、カイロプラクターの大半は個人事業主であり、自分の練習を売り込むことも、ビジネスを成長させることも、自分自身に任されていることが多いといえます。もし、現状を打破したいのであればinfo@seigaku.lifeまでメール相談ください。先述のセミナー録画をシェアさせていただきます。


カイロプラクターの盲点(126号掲載)

首、背中、腰などの痛みを和らげたい場合、カイロプラクターなら脊椎や骨盤をチェックしてアジャストを試みるでしょう。ところが、これといった原因を特定できなかったり、同じ症状を繰り返したりすることがあります。もちろんイネイトインテリジェンスの力は重要であり、上部頸椎のアジャストメントへ望みをかける必要があるかもしれません。ただ、多くのカイロプラクターが見逃している盲点があります。その一つが顎関節です。上部頸椎も重要ですが、頸椎と連動性がある下顎骨のアラインメントや顎関節の存在自体が意外と忘れられています。よく考えていただきたいのですが、アゴは発声や咀嚼によって1日に2~3千回も反復運動をしているといわれています。顎関節が原因で、頭頚部のアラインメントが狂ったとしても何の不思議もないと思いませんか?

また、夜中の歯ぎしりや食いしばりによって咀嚼筋(特に閉口筋)が過剰に拘縮していることも多いですね。患者さんが、寝違えや緊張型頭痛を繰り返す場合は、顎関節の変位(サブラクセーション?)を疑ってみてはいかがでしょうか。

顎関節症は、かつて非常にマイナーな疾患でしたが、今や「2人に一人が罹患する」とも言われています。年々増加する顎関節症をはじめとするかみ合わせの不具合ですが、一般の人はどこで誰に相談すればいかわかりません。マスク生活のストレス食いしばりによって困っている「アゴ難民」がコロナ感染拡大以来、世界的に増えています。

アメリカ歯科医師会(ADA)によると、昼夜を問わず歯ぎしりや食いしばりをする人が増えていると、70%の歯科医師が述べています。患者さんの62%が、頭痛や顎関節の機能障害などの症状に苦しんでいるという研究が報告されています。歯ぎしりやアゴの痛み、それに伴う歯の欠けや歯根破折などの問題を抱えた人が多く来院するようになったと歯科医師たちは述べています。

顎関節症に対する代表的な歯科アプローチは以下のとおりです。(アメリカの記事を元に記述)

・起きている時は、食事どき以外は上下の歯が触れないように注意。

・夜間は、マウスピース装着。

・食いしばり癖を自覚したら、顔のリラックスおよび咀嚼筋マッサージ。

ただ、これらは対症療法的なアプローチで、効果が限定的であることも多いのです。私は多くの歯科医師と懇意にしていますが、多くの歯医者さんが顎関節症には手を焼いています。同調圧力からマスク生活が続くと予想されるこの時代、歯科医師とカイロプラクターが協力して顎関節症に取り組む必要があります。私は数年前から、歯科医師に筋骨格系の重要性を伝える啓蒙活動も続けていますが、カイロプラクターも顎関節について理解を深める必要があります。どこから手を付けて良いか分からない場合はご相談ください。


月刊GakGak顎学スタート!(124号掲載)

昨年に登壇した「からだケアエキスポ」。今年はオンライン講師として参加しました。セミナー拡大版を無料視聴できるリンクはこちら。https://bit.ly/39Lavlk

食いしばり対策として「アゴのお悩み応対マニュアル」も上記リンクから無料でダウンロードできます。アメリカでもコロナ禍で70%(アメリカ歯科医師会発表 https://bit.ly/3cPD1nU)以上も増加していますから応対のしかたをぜひ知っておいてください。

さて、このたび(社)日本整顎協会では、月刊「GakGak顎学」という動画マガジンを発刊することになりました。顎関節に関するトピックはもちろん、手技テクニックや解剖学、アメリカのカイロプラクティック授業のまとめ、マーケティングノウハウ、メディア戦略、海外ツールの使い方、ダウンロード可能なニュースレター、雑談など、10種類ほどのコンテンツで構成されています。あえて、雑誌感覚といったのは、今までのアーカイブ動画など四角四面な真面目な授業もありますが、もちろん真面目なものはとことん真面目に、でも新作コンテンツはできるだけ楽しくエジュテイメントの観点から作成していきます。各コンテンツにもコメント欄を作成しますから、受け身で読み飛ばしていくだけでなく、一行コメントでもいいのでぜひ積極的に参加していきましょう。良いコンテンツを一緒に構築していきましょう。詳しくはyoutube動画で。https://youtu.be/C6PLapYmFpM

雑誌のような形態でローンチしますが、購読者、受講生どうしが交流したり相談しあったりできる、ゆくゆくはオンライン形式の大学のような組織を作り上げていきたいと思います。経営相談やテクニックに関する質問なども大歓迎です。

料金は月額5,500円(税込)で1時間以上の動画コンテンツが含まれます。教材DVDの相場は単価1時間1万円ほどですからお値打ちです。更に、読者のために初回限定で90%OFFクーポンをプレゼントします。ランチ代550円でぜひお試しを。決済ページのクーポン欄に以下をご入力ください。「GK9OFF1」申し込み:https://bit.ly/39HFZZB


マスク生活によるストレス食いしばりについて(123号掲載)

帝国データバンクによると、新型コロナウイルス関連倒産は全国で838件(2020年12月23日現在)。コロナ禍によって事業は短命化が顕著になりました。アメリカでS&P500構成企業の平均寿命は1960年代には60年でしたが、今日では20年足らずです。

「一つの職業を全うする」人生は今後難しくなります。望むと望まざるに関わらず何回も仕事のシフトチェンジをしないと食っていけない時代です。VUCA(不安定性・不確実性・複雑・曖昧さ)時代で「資格を取って独立」という勝ちパターン方程式は消滅しました。

執筆時点では、コロナ変異種の国内感染が認められてきたところで、受診控えにより来院数が激減しているマッサージ院も増加中です。手元に現金が足りない院長には、短期戦略として回数券販売をお勧めしますが、回数券販売は需要の先食い。直近の売上を伸ばすドーピングと同義なので注意が必要です。

3蜜を伴うほぐし業に比べると、カイロプラクティックはコンタクトが一瞬であるというメリットが患者および施術者の双方へ働きます。「体からの声に耳を澄まし、問題を正し、手放しし、体に治癒を託す」というアジャストメントの本質を見失わないことです。カイロプラクターとして長時間接触が不要であることを体現すれば、その哲学がメッセージとして患者さんに伝わり不安が軽減され来院先延ばしも最小限になります。換気やアルコール噴霧などハード面ばかり意識されがちですが、施術というソフト面を今こそ見直しましょう。

当院では6月くらいから顎関節症の来院者数が前年比の約2倍となり右肩上がりです。マスク生活が理由かと推測していたところ、案の定2020年11月9日NHK「あさイチ」の健康特集でマスクによる口元ストレスによって、歯ぎしり・食いしばりが増加していると報じられました。「週刊SPA!」でも、慶應大学医学部教授の中川種昭氏がコロナ禍ストレスで歯ぎしり・食いしばりによって顎関節症になる人が増加していると証言しています。たとえコロナ感染が収束しても、恐らく同調圧力によって日本人のマスク生活は消えることはないでしょう。

あなたも、コロナ禍「だからこそ」求められる施術にフォーカスしませんか?あなたもコロナ禍で急増しているアゴ難民を救済しませんか。(社)日本整顎協会では「歯を食いしばっている人に笑顔を」与える志ある治療家を広く募集しています。まずは期間限定公開の無料70分セミナーにご参加ください。


DXにより現状維持バイアスを打破して経営再構築を(122号掲載)

10年以上前から業者が整体DVD教材を毎月リリースし、施術ノウハウを広めていますね。質や内容は玉石混合ですが、今や教材やセミナーなどを含む治療院マーケティングは、業界スタンダードとなりました。「自分は決してそんなものに惑わされない!」とお思いかもしれません。でも、あなたはFacebookやYouTubeなどのソーシャルメディアに全く触れない生活を送っているでしょうか?これらのメディアには、業者が仕込んだ広告が配信されています。潜在意識下で不安や好奇心を煽り、あなたの心の奥底にざわざわとしたノイズを発生させます。

ほとんどの治療家が、過剰な煽り宣伝に辟易しているのは確かですが、一方で(私もご多分に漏れず)自院のブランド力や地域での知名度、口コミランキングなどを気にかけています。避けては通れないマーケティング、良し悪しはあるのでしょうか?

本来、マーケティングの目的は良識ある経営者の支援や救済です。コロナ禍で疲弊するカイロプラクティック業界を再興させるためには、マーケティング力やデジタルトランスフォーメーション(DX)が必須です。経営を安定化させ家族やスタッフなど大切な人を守るために、今こそマーケティングを見直しましょう。

法制化されてないという大きな壁に加え、さらにコロナ禍で激変する市場には前向きな変革が必要です。カイロプラクターは頑固で現状維持バイアスが強く、変化を嫌う性質があります。新しく優れたアイデアがあっても、批評家のように見下す人も多いのが現状です。

でも、コロナ禍の今だからこそ視野を広げて、院のコンセプトを再構築して信念や技術を広めてはいかがでしょうか。私の場合は、4月の緊急事態宣言によって生まれた時間的な余裕を活用して、各種の海外ツールを導入してDXをはかり、情報発信力を強化しました。またマスク頭痛やマスク疲れなどのアゴの緊張緩和の特需を得て、現在はコロナ前よりも多くの新規来院を呼び込めるようになりました。あなたもDXによって不安を煽らず、共感を集めることができます。治療の傍ら独学するのも限界がありますから、同じ志を持つ仲間が必要ですね。希望者がいればDX勉強会を開催する予定です。ご興味がある方はご連絡ください。info@seigaku.tvまで。表題に「整顎DX」と記してください。


将来に備えを。整顎リモート講座(121号掲載)

原稿執筆中の4月23日時点では、世界の新型コロナウイルス感染者数が約263万人に迫ろうとしています。国内では感染者が1万人を超え、緊急事態宣言下の自粛が続いています。幸い、当院では予約キャンセルは最小限にとどまっています。整顎は「歯科大学病院から勧められた下顎の骨切り手術を回避したい」など『重要性』に加え「眠れないほど」のアゴ痛や緊張型頭痛など『緊急性』も高い患者さんが多いため、影響が少ないようです。「将来への備えを」と、3.11直後から種まきした整顎が功を奏していることを実感します。

今、治療院業界は逆境に置かれ、私の元にも経営危機の相談が寄せられていますが、ピンチはチャンスと前向きに考えるべきです。良い学習機会と捉えインプットに専念しましょう。そして、今後も起こり得るパンデミックや自然災害へ中長期的に備える一つの手段として「整顎」専門院化を取り入れることもお勧めします。顧客の「長時間のほぐしが得!」という価値観も「15分未満の短時間接触」へとパラダイムシフトが起きました。整顎では時短化も可能です。また、東北大学とNTTが開発中の『顎関節症AI診断アプリ』が2022年にリリースされれば、これまで自覚症状がなかったアゴ難民による整顎の需要が倍増します。アフターコロナのV字回復を狙いましょう。

現在、日本整顎協会では信念あるカイロプラクターへの教育プログラムを計画中です。手技の分野では困難と思われ、私自身もタブー視していたリモート形式セミナーを、テレワークが推奨される今だから実施しようと考えています。数日間のオンライン講義を全国へライブ配信。あなたは貴院から一歩も出ず整顎の知識・技術を習得できます。遠隔指導できる根拠は整顎の技術体系の動画を通じた分析のしやすさ及び15年を超えた私の講師歴にあります。力加減が核となる揉みほぐし等と異なり、整顎は視覚情報から受講生の上達度を判断できます。受講者の検査・施術における姿勢や重心のかけ方、手の角度や動作などをモニター上で私が目利きし個別指導します。業界初のリモート道場を活用し、ぜひ近隣の歯科医院との「整顎」連携を目指してください。受講に必要なのは患者役パートナーとスマホかパソコンだけ。批判は覚悟のうえで、前代未聞のリモート整顎アカデミー(SA)を10月スタート予定です。ご興味ある方は「SA興味あり」と表題をつけ左記までメールください。

info@seigaku.org


唯一生き残ることができるのは、変化できるものである。(120号掲載)

私は、かつて顎関節症に悩んだ経験から「整顎」という新たなジャンルを生み出しました。アゴに着目したもう一つの理由は「差異化」です。「頭痛専門院」「女性専門院」など、クリニックでも専門院化が進んでいますが、顎関節専門院はほとんど存在しません。一方で、顎関節症はスマホ普及とともに増加中。「口が開かず、食べることが楽しくない」「顔がこわばって上手に笑えない」など、現在アゴの悩みを持つ人は厚労省の事態調査によると全国1,900万人もいます。「深刻な悩みじゃなさそう…」と思うかもしれませんが、悪化ループに陥ると「死にたい」ほど心を病む方も多いのが顎関節症の特徴です。腰痛などに比べ悩みが根深いのに、どこに相談したらよいか分かりません。脳神経支配のため思わぬ本能的な反応をしますから歯科医師はもちろん、素人が容易に手を出せない疾患です。(「知らぬが仏」の腕自慢セラピストもいますが…)巷に爆発的に増えている素人ほぐし業と競合しづらい分野で参入障壁も高いといえます。また、歯科マウスピース保険診療では効果が限定的です。単価も低いし歯科医師にとって顎関節症はやっかいごとなのです。整形外科医と異なりカイロプラクターと競合しないことを意味します。よって、歯科とは連携できる可能性も高いといえます。 

さて、「整顎」といっても、私は毎日、朝から晩までひたすらアゴだけを診ているわけではありません。必ず、背骨や骨盤を含む、全身のバランスを調整する施術します。上肢や下肢から施術する場合もあります。アゴだけ診てもかみ合わせがよくなるとは限らないからです。 

また、小顔矯正のように顏周りへの押圧を加えることはしません。なぜなら、表情筋や咀嚼筋の緊張を招き、症状を悪化させるリスクが高いからです。 

残念ながら現在、即席培養の整体師による頭部や顔面への施術によって健康被害を受けるケースが増えています。バイオメカニクスや神経学に対する知識の欠如によって生まれてしまう「アゴ難民」を私は救いたいと日々考え続けています。施術や考え方はアメリカで学んだことだけです。ダーウィンの「生き残るのは変化できる者」の至言のごとく、少しずつ形態を変化させながら新しい環境に適応していくのがカイロプラクターの進む道です。 

一般社団法人日本整顎協会 


歯科医院と連携したいカイロプラクター募集!(119号掲載)

治療院密集地帯の隣町で最近2軒の整骨院が開業しました。1軒はチェーン展開の院で新規オープン。もう1軒もグループ院で、目と鼻の先に好立地テナントが空いたので移転リニューアル開業。屋号を変えて外装デザインもおしゃれに高級化しました。自己実現が目的になりがちな個人院と違い、マーケティング的勝算のもとに開業することが当たり前の時代です。前者は内装工事中から100円キャンペーンのビラ配り。後者は既存患者を維持しつつ、新規獲得のために開業前からウェブサイトを立ち上げて先行告知。交通事故対応はもちろん、産後骨盤・耳つぼ・腸もみ・EMS…と「何でもあり」の宣伝をしています。安売りでも何でもアリの世界で資本力に任せてトライアルする時代になってきています。

何でもトライする動向の背景にあるのが「VUCA」というトレンド。Volatility(変動)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑)・Ambiguity(曖昧)の略で、経済や業界予測はあてにならないことを意味します。書籍「チーズはどこに消えた」が以前示したように再現性がある普遍的な成功モデル業態は世の中に残っていません。カイロプラクティックのような優れたコンセプトでも、かつてのように長期的な優位性を保ちづらくなっています。

「手に職をつけたら安定した生活が送れるし、食いっぱぐれがない」と信じて士業の資格を目指す方は多いですし、私もかつてそう信じてカイロプラクターを志しました。でも、変化が目まぐるしい現代ではこの考えは通用しません。治療院・リラクゼーション業界も人があふれているので、値踏みされて仕事を奪い合う状況。資格を取っても将来が安泰とは言えないのは、2週間でセラピストデビューするのがスタンダードになってきているから。残念ながら消費者は施術師の職歴にほぼ関心がありません。自分の悩み事を解決してくれそうかの安心材料を求めて、パッケージ化されたチェーン店イメージに行きつきます。

「整顎」の場合は、①社団法人化、②メディア取材、③カイロ・歯科連携が患者さんにとっての安心材料です。歯科向け勉強会は歯科医師・衛生士に好評を博しており、現在、宮城・群馬・奈良・大阪などで歯科医院と地域提携できるカイロプラクターのパートナーを求めています。関心がある方は以下までメールご連絡ください。


「自分で治す!顎関節症」出版の舞台裏④(118号掲載) 

拙著「自分で治す!顎関節症」が出版された影響について述べます。まずは、読者からの問い合わせや相談が寄せられるようになり、世間からの関心や信頼の高まりを感じたことが第一に挙げられます。メディア関係者などに会ったときでも、初対面でも今まで以上に信用して私の話を聞いてくれるようになりました。これまでも「顎関節の専門家」という肩書きによって印象には残るものの、もしかしたら奇抜だとも認識されていたのかもしれません。出版業界では「本は名刺代わりになる」とよく言われますが、名刺と違って捨てられることはほとんどないですし、名刺交換時の立ち話よりも説得力があります。歯学博士が監修したベストセラー本ということもあり、私の話に傾聴する歯科医師も当然ながら増えました。これは、カイロプラクターと歯科による地域連携を目指す一般社団法人日本整顎協会の活動にとっては大きな追い風です。先日も50人規模の歯科セミナーで講師を務めさせていただきましたが、歯科医師たちは咬合と姿勢の関わりについて非常に熱心に聞き入っていました。受講者からは熱意や興味・関心の高さを感じました。つい昨今の元気がないカイロプラクティック業界に比べてしまうのですが…、私も10数年前セミナー講師を始めたころの初心に立ち返りました。医師と比べると歯科医師たちは思っていた以上にオープンマインドです。サブラクセーションの概念も抵抗なく受け入れられることも新たな発見でした。歯科医師や歯科衛生士の日常業務は常に前傾姿勢や長時間の細かい手仕事、目の酷使などを強いられています。筋骨格系の知識・技術に関しては、顎関節症の患者たちのためを想う理由に加え、彼ら自身の心身の健康問題としても切実にその必要性を実感しているようです。これらの手ごたえをつかみ、今後も歯科医師や歯科衛生士向けのセミナーを続けていく予定です。決して「隣りの芝」に活動拠点を移すという意図ではなく、歯科医師という医療のプロフェッショナルに認められることがカイロプラクティックの息を吹き返す一つのきっかけになればと考えているからです。歯科医師の本分はあくまでも歯の治療。業務的にも院内でアジャストメントをすることは歯医者さんにとっては現実的ではありません。(我々も顔負けのアジャストメントができる歯科医師も稀にいますが)近隣地域で信念あるカイロプラクターと医療連携し役割分担して、アゴや背骨に悩みを抱える地域民を救済していき、認められることが理想です。


「自分で治す!顎関節症」出版の舞台裏③(117号掲載)

大手出版社2社から企画却下された頃、旧知のカイロプラクターの先生を通じて、中堅出版社2社から「顎関節症の書籍を手掛けたい」とアプローチいただきました。このうちの1社が「「自分で治す!」シリーズを手掛けていた洋泉社です。好評を博している脊柱管狭窄症や腱鞘炎などのテーマに続き、顎関節症に関する書籍企画を温めていた好機に、私に白羽の矢が立ったという経緯です。今までのように白紙スタートではなく既にシリーズ化している健康書籍ですから、スムーズに話が進みました。今まで2~3年の足踏み状態がまるで嘘のよう。2018年の春先に企画がスタートすると、とんとん拍子で執筆が進み夏の終わりには最終稿が完成しました。監修は「行列ができる診療所」や「日経ヘルス」など数々の取材も受ける、歯学博士の吉野敏明先生に快諾いただきました。口腔医療に関わる書籍を何冊も執筆している吉野先生からも「歯科医が知っておかないといけない内容だと」太鼓判を押されました。前刷りが届いた時点で他の大手出版社の編集者に献本を兼ねてご挨拶にうかがうと、「ウチから出したかったですね…」と悔しがっていただき、またお褒めの言葉をいただきました。こちらからの出版は叶いませんでしたが、今後も長いお付き合いができそうです。

洋泉社は企画を持ち込んだ大手出版社2社に比べると小規模ながら、その分決断が早いことに驚きました。正直、「せっかくなら大手出版社から」とこだわっていた面もありましたが、大手では企画会議で、より高い需要が見込まれる「小顔」テーマなど、変化球の書籍内容も検討しなくてはならない場面もありました。一方、今回は編集者から書籍の内容についても特に口出しされることはなく自由にのびのびと私の主張を展開させていただくことができました。奇をてらうことなく、健康テーマで堅実に「顎関節症」という内容で正面突破できたことに深く感謝しています。歯科医師からの評判も良好で、収まるべき形に落ち着いて本当に良かったと実感しています。出版された「自分で治す!顎関節症」はAmazon部門別ベストセラー1位となり、顎関節症に関する世間の関心の高さを改めて知るきっかけになりました。先日は、NTTドコモと東北大学が顎関節症の早期発見AIアプリを共同開発することが発表されましたが、相談先のないアゴ難民救済に向けて更に尽力していきたいと気を引き締めている次第です。


「自分で治す!顎関節症」出版の舞台裏②(116号掲載) 

出版舞台裏の続編です。大手出版社には決裁までにいくつもの関門があります。それらを通過できなければ執筆を始める段階にすら行きません。

編集者にはウケが良いもののなかなかスタートしない整顎の書籍企画。1年経つと編集者が他部署に異動となり、後任の編集者へバトンタッチされました。後任の女性編集者も前任者と同様に企画に乗り気でしたが、このあたりで進展しない理由と状況が判明してきました。それは、編集部レベルでは反応が良くても売上の数字を管理する部署が渋っているという構図。顎関節関連の書籍は発行部数を稼げないと判断していることを編集者を通して私も知ることとなりました。

1年、2年と経つごとに出版不況はより深刻化し出版社の社内体制も一新がはかられました。最初の顔合わせからついに3年目。遂に後任の編集者が健康書籍以外の部署に異動が決まり、ついにギブアップ宣言が出ました。(二人の女性編集者とは未だにお付き合いがあり良好な関係を保っていますが)大手出版社ならではのハードルの高さを実感しました。私も頭を切り替えて、書籍に関しては「またしかるべきタイミングがあるだろう」と保留することにしました。日々の施術にあたりながら、執筆すべきネタをストックしていきました。

この間、整顎の活動が停滞していたかというと決してそうではありません。2016年に一般社団法人を設立し帝国ホテルで創立式典を執り行うと、雑誌記者や新聞記者などが出席してくれました。世の中の顎関節症への関心が深まっていることを実感しました。フジテレビ「とくダネ」の取材を受け、「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめとする健康雑誌などでも連載。TBSラジオにゲストとして出演も果たしました。

これらのメディアから整顎が取り上げた反響は大きく、患者さんからはもちろん歯科業界からの問い合わせも増えました。

2018年に入ると、別の大手出版社に所属する旧知の雑誌編集者が書籍部門に異動。書籍企画持ち込みのお声がかかりました。温めていた書籍内容について提案をしたところ、編集部内での評判は非常に良好だとのこと。企画会議の中で女性編集者からは「今まで手掛けてこなかったジャンルで新しいテーマの書籍になりそうだ」という期待感から好意的なリアクションを得られたということです。編集責任者も「顎関節症に悩んでいる」ということで 興味を持ってもらうことができました。結論からいうと、やはり営業部からゴーサインが出ず却下されましたが、良い手ごたえを感じました。(つづく)


「自分で治す!顎関節症」出版の舞台裏(115号掲載) 

拙著「自分で治す!顎関節症」(洋泉社)が出版され、おかげさまで約一ヶ月間amazonで部門別ベストセラー1位を達成しました。アゴのお悩みを抱える方から早速問い合わせも届き、顎関節症への関心や需要の高さを改めて知ることになりました。裏を返すと、口腔外科や歯大附属病院などを巡っているけれどなかなか改善しない「アゴ難民」がまだ大勢いることを示しています。嘆かわしい状況ですが、彼らの相談先である歯医者さんからは書籍内容について「目からウロコ」「歯科治療に取り入れたい」と評価をいただき、ドクターショッピングの悪状況に風穴を開ける一助になればと期待しています。amazonレビューでは、1日1分で簡単にできる自宅ケアが好評で、執筆し甲斐がありましたね。あなたも患者さんにもこれらのセルフケアを実践していただくと、アゴが整い背すじが緩んだ状態でアジャストメントできるので貴院の施術の効果をより実感していただけるはずです。

さて、貴重な機会ですので、出版に至る舞台裏についてお話ししていきます。もともとこの書籍企画は今から4年以上前に知人を通して、ある出版社から打診を受けたところから始まります。 文京区の日本人なら誰でも知っている大手出版社。周囲を見渡せる高層ビルの会議室で女性編集者と話をしたところ、すぐに興味を持ってもらえました。1週間後には彼女に体験手術を受けに来院いただきました。整顎を施すと「アゴの自覚症状はないけど、体が非常に楽になった!」と喜んでいただけました。ここまでは順調な滑り出しで安心していたのですが、実はここからが長い長い道のりでした。

企画のアプローチを少しずつ変えながら編集打ち合わせは進むものの、なぜかゴーサインが出ずに保留状態が続きます。3ヶ月経っても半年経っても進展はありません。私も日々の施術に没頭するかたわら、時おり企画書を提出。雑誌取材を受けた際には記事をサンプルとして送ったり、メールのやり取りをしたり…。ときどき出版社にも出向いて対面で打ち合わせもしましたが計画が進みません。しびれを切らして勝手に執筆を始めようかとも思いましたが、見切り発車しても編集方針と合わなければ書き直しになることは(前職の映像プロデューサーの経験から)分かっていました。まったく八方ふさがりです。書籍化のハードルの高さを実感しました。(つづく)


力量の範囲で努力できるか。アゴ専門はマニアック?(114号掲載)

「頭痛外来」「アトピー外来」「物忘れ外来」など、医療業界では専門クリニック化が進行。このトレンドは治療院業界にも起きると私は確信し、アゴに専門特化しました。

そこで、今回は(社)日本整顎協会の7つのチャンネルについて説明します。

一つ目のチャンネルは「食」。「口が開かず食事ができない。」「 食べることが辛い。」という悩みがあります。

二つ目は「歯」。歯医者さんにとって顎関節症は実は厄介ごと。頸椎の配列や顎位がずれていると咬合調整に不備が起こり治療の予後が悪くなります。 歯科医は骨格ケアまで手が回りませんから、整顎による筋骨格ケアは歓迎されます。

三つ目は「顔」。 つまり、見た目の悩み 。「口が歪んでいて撮影されたくない。」「マスクをつけて外出する。」という方、タレントさんから相談が寄せられます。 

四つ目は「頭」。咀嚼は脳への刺激。 記憶の活性化につながり認知症予防につながります。

五つ目は「心」。うつ病やパニック障害の方が多く来院。心が辛くなると、無意識の食いしばりでβエンドルフィンが分泌され、一時的に症状が軽くなります。

六つ目は「体」。瞬発力と噛み合わせの観点から、アスリートのコンディショニング。食いしばり癖から起きる首・肩の可動域減少にも整顎で対応します。

七つ目は「声」。声優や俳優、アナウンサーなど。声帯、舌、口腔など、発声ユニットを構成するアゴがいかに重要かは想像に難くないでしょう。吹奏楽奏者も通院しています。

これらに一つも関わりがない人はいるでしょうか。アゴ専門というと色モノと思われがちですが、実は間口が広いです。「成り立つのは東京だけ!」とも揶揄されますが、東北から九州まで整顎師がこれら7種類のケアをしています。むしろ、全国的には整顎師が不足。今後、育成に尽力しなければいけません。

この時代、いかに狭いセグメントの中で活躍できるかが生き残りの鍵です。私には「世界中の誰よりも優れた才能」はありません。でも、ある特定のセグメントにおいては、人よりも適した分野が存在する可能性はあります。そんな分野は、魅力がないマニアックだと思われているマーケット。だから、強者が参入しないのです。分母が広いと強者が入ってくるし競争が厳しいから、分母をどう選び自分の力量の範囲で努力するかが今後の命題です。


考え抜く力(113号掲載) 

カイロを含む徒手療法やほぐしの業界では熾烈な出店攻勢が加速中です。もし低料金競争に巻き込まれたくないなら、競合と似たサービスを提供してはダメですし、違いを認知されないと生き残れません。「ウチは本物のカイロだ。黙っていても分かる人は分かる!」という甘えは禁物ですね。なぜなら今日、大半の顧客は多くの施術・サービスについてネットで情報武装しているからです。顧客は自分の意に沿う、納得料金の検索結果以外には目もくれません。

では、どうしたら良いでしょうか?答えは、施術や訴求点を差異化し周知させることです。ただし「私が提供するカイロはこう違う!」と個性を訴えるのはただのエゴです。残念ながら、あなたが好きなテクニックやこだわりに顧客は全く興味がありません。

違いを打ち出すポイントは、例えば「Where」「How」にあります。前者では「市場を変える」というのも一つの手です。整顎の場合は、歯科でカバーしきれない顎関節症と関連症状に活路を見出しました。後者については「どう見られたいか」について工夫しましょう。整顎では、口腔医療に関する理念を徹底し、歯医医師向けにも競合ではなく味方であることを伝えました。

さて、施術や戦略を差異化することは重要ですが、いくら革新的でも顧客のニーズやウォンツとかけ離れていては意味がありません。(例えば、時刻を知るニーズを満たすスマホがあっても、高級腕時計が売れるのはウォンツのおかげ。)特にウォンツに合致することが重要です。また、それらを満たす独自サービスを思い付いたとしても、オリジナルだと思い込んでいることは、競合院も必ず考えています。現在、我々の業界にはホールディング会社も進出していることも意識しましょう。情報収集に長けた大手企業にとっては、後出しジャンケン的に模倣することなど朝飯前です。

では、対策は?競合他社が真似できない差異化を推進する鍵は、実はコンセプトのその先です。カイロ哲学を守りつつも従来の立ち位置を疑う。カイロが法制化されない日本における新たな可能性を模索する。(たとえ法制化されても困ることはない。)先頭に立ち、真似されるより先に走り続けて高みを目指す。そして、時に立ち止まって考え、また進む。そんなプロセスを繰り返す必要があります。

私は「整顎」という差異化コンセプトが世の中にいかに変革するか徹底的に考え抜き、

今も毎日、考え続けています。


こだわりのカイロプラクターが生き残る道(112号掲載)

前回、消費者を「甘えん坊」にするビジネス入門編の話をしました。デメリットは、ご主人の甘えは無限にエスカレートし理不尽な要求が突きつけられること、また、クレーマー気質のクライアントも増えます。「患者が喜ぶ平凡なサービス」を提供することに我慢できなかった私は、召使いに徹する「カイロプラクティック・ビジネス入門編」を卒業し、応用編に進むことを選ばざるを得ませんでした。ただ、それは茨の道でした。

職人技を磨くことに生きがいを感じる、こだわりのカイロプラクターが生き残る道はどこにあるでしょうか?まず、経済的な原理原則からお話ししましょう。それは「消費者は商品・サービスを自由に選ぶ権利もあるし、どこから買っても構わない」という現実です。

良かれと思って余計なアドバイスをしたり、望まれないのにカイロ哲学を語ったりすれば、当然、消費者からは距離を置かれます。逆に、喜ぶサービス・治療をお手軽料金で黙って提供すれば波風は立ちません。これが入門編で「お客さんに主導権がある」状態です。

一方、「お客さんがあなたに主導権を自主返納してくれる」のが応用編。「あなたが考える理想のカイロを私に提供してください」と患者さんが申し出てくれる構図で、成り立つための必要条件があります。それは…「特別な存在」になることです。他所になければ消費者はそこから物を買うしかないですよね。つまり、人と全く異なるサービスを提供できることが鍵です。振り返れば、30~40年前の日本で「カイロプラクティック」といえば他にはない特別な存在でした。DCだったらなおさら雲の上の存在で、大変な希少価値があったわけです。でも、現代では「他にもたくさんいますよね?」と言われたら、その瞬間にあなたに主導権はなくなります。

「特別」は「異質」ということ。世の中を見渡しても、成功している会社は個性的な経営をしています。テレビ取材される経営者も「異端児」「変な人」や「アウトな人物」ばかりです。そんな人や会社と付き合うにはリスクや不安があるけれど、その異質性のハードルを乗り越えてサービスを求める熱狂的なファンも多く付きます。「変な人」と言われたら嫌でしょうが、「あなたは特別!」と言われたら嬉しいですよね?でも、「変」も「特別」も本質的には同義です。私の場合は、アゴ専門の「変な」カイロプラクターという形で世間に認識されるに至っています。


「患者が喜べば」は正しいか!?②(111号掲載)

さて、経済活動で、消費者が売り手を選択するにはリスクが伴います。例えば、似合わない洋服を勧められて買ったときの後悔はリスクの一種。この場合、大抵、売り手に責任が押し付けられます。本来、自己責任ですが、間違えを認めたくないあなたは「服を勧めた、あいつが悪い!」と、責任転嫁するわけです。(そこで、あらかじめ選ぶ側のリスクを売り手が負うリスクリバーサルという概念も生まれました。)

体をゆだねる治療院なら選択ミスのリスクはより顕著ですが、リスク回避に選ばれるのは、残念ながら、カイロより大手ほぐしチェーンです。「有資格者の方がミスが少ないのに馬鹿だな…」とあなたは思うでしょうが、マニュアル標準化された施術には当たりハズレの要素が少ないのです。標準化とは、術者の勘や経験、技など属人性を排し無個性化すること。つまり、平凡にすることですね。平凡なのにウケる理由は、サービス内容が予測可能だから。全国一律どの店に行っても、明朗会計で同じような施術だと予想できるので心理的ハードルが下がります。また、無個性は権威がないことと同義。権威がない術者は、優位に立ちたい本能を持つ消費者に喜ばれます。「強く揉め!」「もっとここを!」と、施術者を操作できればハズレのリスクを減らせますからね。事業者側はスタッフを「召使い」化できれば、ご主人である消費者をハッピーにできます。雇用の際は、こだわりの強い有資格者より、「セラピスト」の響きに魅かれ2週間研修を受けにくるバイト君のほうが扱いやすいですね。この召使い量産モデルは、コンビニでも牛丼屋でも宅配便でも、業界を問わずビジネスの入口です。疲れて選ぶのが面倒くさいと、ついコンビニに足が向きますよね。体がつらい時ならなおさらで、選ぶのに頭を使いたくありません。「以前に頼んで大丈夫だったから」という無難な理由で継続来院が起きます。決して「技術が素晴らしいから」という前向きな理由ではないのです。消費者にいかに頭を使わせず「甘えん坊」化させるかが成功の鍵です。

一方、勉強熱心な有資格者は「良薬口に苦し」の治療をしますが、属人性が高く非凡な技は予測不可能ですね。とんでもない大ハズレの可能性もあるわけです。この、ハイリスク・ハイリターンは消費者から嫌われます。では、私が整顎を始めるにあたって取った思考法とは?(つづく)


「患者が喜べば」は正しいか!?(110号掲載) 

前回の、治療院経営者から「患者が喜べばカイロでもほぐしでも構わない」と言われた話。カイロにこだわる私は正直「ムッ」としました。でも、反面、何か本質を突いている気もしました。私より長年、日本で経験豊富な彼の言葉には重みもあったからです。

以来、この言い回しは私の耳に残っています。当時から10数年経った今、「患者が喜べば」の言葉はむしろ説得力を増しています。

現代は、正しいアドバイスをする医師に、患者が印刷し持参したネット情報を手に反論できる世の中です。プロ意識が高い医院でも、悪い口コミが伝播すれば閉院に追い込まれます。つまり、「良い」「正しい」商品(サービス)が常に「売れる」とは限りません。我々の世界でも、技術・知識あるカイロプラクターよりも、2週間で培養されたアルバイト施術師のほうに多くの顧客が付くことも珍しくないですね。

あなたの施術に需要があるかはどう判断すればよいでしょうか?答えは、顧客からの集合体としての支持がどれだけあるかです。一部のお客さん(セグメント)から嫌われようと勝手ですよ。でも、お客さんからの集合体(マス)としての声を無視するわけにはいきません。

別の例えで説明します。政治家は、暴言を吐いて一部の国民から反感を持たれても別に困りません。でも、国民の声が集合体の「世論」になれば、権力の座から簡単に追われます。政治家が「選挙の結果など認めない!」と言っても負け犬の遠吠えです。

同様に、マスとして顧客の要望を示す「売れているもの」はマーケティング上、「正しい商品」です。あなたの院が流行るかは数年たてば数字(マス)として表れます。「いや、おかしい!世の中が間違っている」と言った瞬間にビジネスではないのです。私が開業後、数年間苦しむことになった経緯は今までお話ししたとおり。

誤解であれ間違っていることであれ、最後に商品を選択するのははお客さん。売れている「ほぐし」は日本においてはスタンダード商品です。究極的に顧客は「本当にこれが正しいかどうか」は判断しません。常に「自分の選択は正しい」と思いたい生き物だから。お客さんの選択を否定し「あなたに本当に必要なのはコレです」と言っても通用しません。『あなたが本当に必要だと思いたいのはコレでしょう?』という姿勢がマーケティングの第一歩です。あとは、医学的側面とどう折り合いを付けていくか。


カイロプラクティックのサイドメニュー化とローカリゼーション(109号掲載) 

スクール講師時代は充実感がありましたが、時おり関係者から気になる発言を耳にしました。鮮明に覚えているのが、「カイロは整体の一種」「患者が喜べばカイロでもほぐしでも構わない」という2フレーズ。当時、私は「整体」という言葉が苦手で「何でもあり」という日本の風潮にも違和感を覚えました。

講師業を休止し開業すると、カイロの現状に対する閉塞感をより味わいました。カイロプラクティックの表現が安易に拡散される無法地帯。「骨盤矯正」がブームになったものの、カイロはサイドメニュー化。院の案内には、整骨・鍼灸・整体やタイ式などが筆

頭に名を連ねますが、「カイロプラクティック」ははるか下のほうでどうにか認識できる程度。「おまけ」ほどの存在価値に落ちる現象です。セミナーで「カイロプラクター」を名乗れる以上、その地位を高めるのは至難の業だと実感しました。必死でカイロの啓蒙に努めましたが、5年経って私はワクワク感を失い、「カイロプラクターを志した頃のやりがいを取り戻したい」と信念に沿う新たな道を進むことを決断しました。

人々の心をつかむには、他所と異なる価値観をいかに提示し共感してもらうかが鍵です。私は異業種から学びを得ました。外来文化のローカリゼーションにはビジネスの先例が多々あります。普及期のマクドナルドは月見バーガーやチキンタツタなどヒット商品で売上を底上げ。USJは「映画」縛りを取り払いアニメなど日本人になじみあるコンテンツで勝負。

元来、日本人は舶来品の再定義が得意です。天ぷら、カレーライス、とんカツなども元々は洋食。トヨタは日本の道路事情に合わせた小型車で成功しました。いかに市場に適合し自分の土俵で勝負するか、私は現状を分析し変革を実行しました。業界を超えた支持を得るため、開業当初から好評だった顎関節調整で専門院化。苦手だった「整体」という言葉の優位性を逆手に取り「整顎」と名づけると、アスリートや歯科医師などから声がかかるようになりました。批判されることは覚悟の上で業界の「あたりまえ」を疑うこと。先入観を取り払わなければ創造性や生産的アイディアは生まれません。禅でいう「守破離」の境地でした。入り口は「アゴ」で来院した患者も哲学を伝えるうちにカイロプラクティックのファンになっていきます。これも、私なりのカイロプラクティックです。


患者教育はさりげなく(108号掲載) 

約10年前、治療院業界にもインターネットマーケティングの波がやってきました。ウェブサイトが存在しない院も多い中、私はサイトを自作しオンライン集患に成功しました。ところが、せっかく新患が来院しても継続来院に結び付きません。来院が2・3回続けば良い方ですが、業績面は安定していません。当時を振り返るとテクニック至上主義に陥っていました。アメリカ人DCの師匠の教えに従い、「まず技術ありき」「腕さえあれば盛業」という思い込みがありました。

さて、「良い商品なら売れる」といった考え方を「プロダクトアウト思考」と言いますが、これはモノが足りていない時代だけに通用するコンセプトです。いまどき、消費者には選択肢が多くあるため、「とにかく良い物を提供」では通用しません。

あらゆる療法が世間に溢れていますし、当時ブームだった骨盤矯正などの流行りものにも人々は引き寄せられます。ならば「理念が大事!」と、私は理念経営主義を取り入れます。学生時代はフィロソフ

ィーの授業が苦手でしたが「dis-ease」などのマインドも伝え、患者教育にも力を入れました。しかし、イネイトやサブラクセーションの概念を説明しても患者は困惑気味でした。うまく伝わらず、説明のバージョンアップを重ねても結果は同じで、患者からの抵抗感を払拭できませんでした。ここで、私は良くも悪くも一旦「あきらめの境地」に達します。少し肩の力が抜いて気楽に接すると、まずEBM的な説明から入った方が私の場合は納得していただけることに気付いたのです。

患者が治療に満足したときに「実は、これがカイロプラクティックなんですよ。」と、さりげなくフォロー説明を行い、更に関心があれば、フィロソフィーの話もします。この結果、大上段に構えて「カイロプラクティックとは…!」と語っていたときよりも、自然にファンが増えていきました。結局、強いこだわりや力み・余裕のなさが人を遠ざけていたわけですね。

これらの経験を通して学んだ結論は、優れた技術や独自の理念があることは大前提だということです。この2つは「できていて当たり前」なのです。盛業のためには、さらに重要な事があります。この要素がなければ、フジテレビの番組や雑誌TARZANなどから取材を受けることがなかったはずです。詳しくは次号でお話ししましょう。


カイロプラクティック留学から開業まで(107号掲載) 

CG業界に身を置いていた当時、「CG映像クリエーター」という職種がもてはやされ、メディアでも取り上げられていました。でも、その本質は「下請け」仕事。特にCM業界はピラミッド構造。スポンサーから広告代理店を経由してCM制作会社に仕事が発注される中で様々な無理難題を要求されます。加えて、先述のSE30歳定年説。5年ほどで「これって一生の仕事だろうか?」という疑問が大きくなっていきました。そんなとき思い出したのが、以前にぎっくり腰を患った際に診てもらったDCのことです。デジタルは常にバージョンアップされますが、人間の解剖的構造は時代を経ても基本的には変化しません。勉強するほど技術・知識が蓄積される「職人仕事」としてのアナログ的なメリットを実感しました。

30歳になったとき、私はCG業界を退職。カイロプラクターになるために2度目のアメリカ留学を実行に移しました。渡米すると北カリフォルニアで医大必須科目取得のために半年を費やした後、ライフウェスト大学に入学。このとき60名いた同級生は、卒業時には1/5の12名だけになっていました。留学生活に慣れていた私でも勉強は非常にハードでした。ドロップアウトする学生も多い中、周囲の支えや技術習得への意欲、職業的な目的意識を保てたおかげで無事で最短の3年で卒業することができました。(留学生活については、また別の機会でお話ししたいと思います。)

帰国後は、スクール講師やセミナー講師を務めながら開業準備を進めていきました。留学で底を付いていた貯金も徐々に復活していき、2006年に世田谷区成城でオフィスをオープンすることができました。

ところが、経営は順風満帆とは言えず、2、3年間はオフィス経営と講師業の2足のわらじを履いていました。開業時の心境では、例えば「イタリア修業をしてきたイタリア料理人」同様、「カイロプラクティックの本場アメリカで学んできたDCが院長を務めるオフィス」として盛業しているはずでした。ところが、カイロ自体を分かってくれる風土が日本にはありません。「イタリア料理」は、その一言でどんなものか誰でも理解できますが、カイロは説明するのに時間と情熱が必要です。ある程度、予想はしていたものの、誤算でした。いくら話をしても「じゃあ揉んで。」「ボキボキして(しないで)。」で終わってしまいます。そこで、私の施術の中で評判が高かった「アゴ施術」を軸に専門院化を試みることになりました。(次号に続く)


映像世界からカイロプラクティックへ Vol.2(106号掲載) 

映像業界に身を置いた20代。私はプロデューサーとしてトラブル処理に追われる日々を送りました。「レンダリング(計算)完了間際でマシンクラッシュ。」「外注したフリーランサーが逃げる。」「スポンサー企業の社長が気まぐれでプロジェクト白紙撤回。」など、キリがありません。気の休まる暇もなくストレスの連続。更に徹夜で仕事明けの焼肉屋めぐりも合わさって、胃がキリキリ痛む毎日でした。でも、病気・不健康自慢は当たり前の業界。「具合が悪い」などと口が裂けても言えません。20代という若さもあり、勢いで乗り切っていました。何よりも、映画少年だった私にとって、最先端のCG業界で第一線の仕事に関わっている満足感は他に変えがたいものでした。

「テレビを点けると関わったCMが流れている」「撮影現場でCM制作の裏側を体験」「至近距離から芸能人にCG計測」など、刺激がありました。その一方で、私は矛盾を感じていました。当時からささやかれていた現象に「SE30歳定年」説があります。半導体の性能が指数関数的に向上することを示唆した「ムーアの法則」と同様、映像テクノロジーも日進月歩でアップデートされます。その進歩に付いていけない人間が疲弊、脱落していくのです。

離職者をチラホラ見かけるようになる中、私も「果たしてこれは一生の仕事なのだろうか…?」と思い始めました。ただし、私の場合は技術者ではなく管理者でしたから、まだ活路は見出せましたし、仕事力も養われていきました。

プロデューサーとして私が20代で養った能力(複数プロジェクトを同時進行するマルチタスク・スキル、どんな問題が起きても締め切りに間に合わせる危機管理・トラブル処理能力。そして、時代に合わせる発想力と企画力など)は、20年経った今でも私の武器になっています。特に「整顎」というコンセプトを衆知できたのは企画力のおかげです。

余談ですが、小顔矯正の9業者が景表法で消費者庁から行政処分を受けましたね。「小顔」は、あくまでもマーケティングの観点だけからいうと分かりやすいコンセプト作りで市場を創出した先見性はあるかも知れませんが、これで終了です。私は親しいメディア関係者と話をした際にこの処分をもって「小顔は終焉」という意見で一致しました。

これからの手技コンセプト作りには、コンプライアンス重視の姿勢が欠かせないでしょう。(次号に続く)


映像世界からカイロプラクティックへ Vol.1(105号掲載)

はじめまして。米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック(DC)の藤原邦康です。私は、現在、一般社団法人日本整顎協会の代表理事を務めています。普段は、世田谷区にカイロプラクティック・オフィスを構え、アゴの悩みを抱える患者さんの相談に応える、顎関節専門ドクターとして臨床の現場に立っています。

 これからの連載にあたって、今回は簡単な自己紹介をさせて頂きます。実は私は、医学とはまったく畑違いの映像関係の仕事をしていました。もともと、S.スピルバーグやG.ルーカスなどの特撮映画の全盛期に育ち、映画監督にあこがれる高校生でした。高校卒業後、米国留学。カリフォルニア州立大学(映画専攻)を卒業し、帰国。この頃、フルコンピューター・グラフィック(CG)映画、『トイ・ストーリー』が公開されました。もう20年も前になりますが、今まで見たこともなかったCG映像の衝撃は忘れられません。CGの将来性に期待を寄せ、ワクワクしました。「これからは、英語も関係なく映画製作ができる時代だ!」と、期待に胸を躍らせながら、CM制作会社のCG制作部門で仕事を始めたことを懐かしく思い出します。

 その後、CGプロデューサーを務めながら、特撮映画やCM制作にも数多く携わりました。同時にいくつものプロジェクトを抱えていましたから、業務は過密を極め、徹夜仕事も当たり前。3週間、会社に寝泊りしたこともありました。不規則なスケジュールに加えて、並べた椅子や床の上で仮眠を取るような生活を繰り返すうち、ついに、まともに動けないほどのひどい腰痛を発症しました。

 その時に出会ったのが、都内で開業していた日本人DCの先生でした。先生に診て頂き、幸い、腰痛は何事もなかったようになくなりました。この時、カイロプラクティックの効果に感銘を受けたことはもちろん、骨格や解剖学について非常に興味を持ちました。CG業界でも骨格を基に人間の動きを再現しますから、もともと素養は養われていたのでしょう。また、「モックアップ」といって、粘土でCGモデリングの造形作りをすることもありますから、「手仕事」「職人仕事」という点でも、「へぇー、なかなか面白そうな仕事だな…。」と強い印象が残りました。

 その後もCGプロデュースの仕事は続けましたが、30歳になるとき、私は転機を迎えることとなります。(次号に続く)

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