アメリカのカイロプラクティック

中島 一光DC



まずはカイロプラクターへ

腰痛がある時に人々はカイロプラクティックをどのくらい利用しているかという研究発表があり、調査は18歳以上2,068人を対象に行われました。

腰痛で真っ先にカイロプラクターの治療を求めたのは全体の25%、これは10年前の統計結果である15%からも大きな飛躍です。この現象の一番の理由は若い人達がもたらしており、18~45歳までのグループ統計では28%でした。55~64歳までのグループは22%、65歳以上では19%でした。

腰痛を以前に経験した事ことがあるグループでは29%、その中でも男性は利用率が高く18~34歳までのグループでは30%、35~44歳までは36%、45~54歳までは35%でした。

しかし、腰痛経験者の女性になるとなぜか高い年齢者に減少傾向が見られました。18~34歳グループでは31%、35~44歳は35%でしたが、45~54歳では26%しかありませんでした。

逆に腰痛でMDに行く女性患者は35~44歳の46%に対して、45~54歳までのグループでは59%と高くなっていました。

なぜ人々は腰痛に対してカイロプラクターを求めないのか? 一番の理由は治療には痛みが伴うのではと考えられていることでした。治療に対する痛みを心配しているグループは18~34歳は28%、35~44歳までは29%、45~54歳までは23%でした。

奇妙なことに若い人達の方が治療に対する不安が多かったことです。ほかには健康保険が適用されない21%、主治医(MD)が勧めない20%、または知人がカイロプラクティック治療に対して良くない経験をした17%でした。

この研究から私が思うことは、今までの私達カイロプラクターの治療方法では何かが足りないということです。患者の痛みを取ることがもちろん最優先ですが、カイロプラクティックの未来のためにはもう一歩踏み込んで、腰痛治療にはカイロプラクティックが一番であるという事実をさまざまな方法で患者達に知ってもらう必要性を強く感じます。

全人口の71%が腰痛を経験するといわれています。そんな中MDを最初に訪れた場合、カイロプラクターに患者を紹介する率は5%未満だと言われています。

このような現実を踏まえ、さらなるMD達とのネットワークをつくりMDとDCが相互に患者を紹介し合える関係が望ましいと考えます。このネットワークこそが患者の健康のために最良の形だと信じています。まだまだ道のりは長いです。


まずはカイロプラクターへ

著名な医学雑誌『Spine』で首の痛みにはカイロプラクターの治療が一番の選択であるという研究発表があったということです。新しい研究では、首が痛い時に人はまずどの医者へ行くのかという医者の利用率を調査しました。この研究では治療開始後からの来院回数、診断用の映像検査、治療内容なども180日間に渡って評価しました。

約77万人の患者達が年齢や地域などに関係なく調べられ、カイロプラクターが45.2%の利用率でトップになりMDは33.4%で2位でした。さらにカイロプラクティック治療を最初に受けた患者の約80%はその後もほかの医者には行かずカイロプラクティック治療を続けました。

そのうえDCの患者達は映像検査も少なくすみました。カイロプラクティックではレントゲンは17.7%、CT検査は0.5%、MRIは2.0%の使用率でしたが、MDはそれぞれ30.3%、3.3%、10.9%、救急医は26.4%、40.4%、8.0%、整形外科医は69.6%、3.1%、31.6%でした。

似たような結果は治療にも現れています。カイロプラクティック患者の中で最終的に注射による治療を受けたのは0.4%、また結果的に大手術まで行った患者は0.1%でした。MDでは1.8%、0.9%、整形外科医は6.8%、3.4%でした。

この率をみるといかにMD達は身体的診断の技量が足りていないのかということがわかります。問診し触診し整形学検査法を正しく用いれば多くの情報が得られその情報だけで診断ができるケースが多々あります。しかし私の経験では触診も整形学検査法もMD達が使うところをあまり見たことがなく映像検査に頼るところが多いです。

この統計でも明らかなのはMD達の映像検査の使用率がDCと比べてあまりにも高いことです。これは患者達に不必要な放射線を浴びさせる可能性があり、また検査費も莫大に上がります。ここ米国ではCTやMRIは1回20万円を軽く超えるのが現状です。カイロプラクティックは首の痛みに対して一番の選択肢であるだけでなく検査費と治療費削減にも莫大な貢献をしています。

この研究の中で著者は、これらの利点を鑑みこれからの医療システムは筋骨格関連の首の痛みに対する最初の治療にはカイロプラクティックを奨励していくような方法を探し求めていくだろうし、MDからカイロプラクターへの患者紹介を引き上げるよう努めて行くだろうと結論づけています。

首に痛みのある人々がまずカイロプラクティックの診断から始めるということが当たり前になっていくことを願います。


オピオイドの危険性、カイロプラクティックの安全性

オピオイド(麻薬性鎮痛剤)の処方箋乱用はとどまることを知りません。エビデンスに基づくオピオイドの危険性ガイドラインができたのにもかかわらず、カイロプラクティックを含む非処方箋マネージメントが推奨されているにもかかわらず使用され続けています。

処方箋を書くMD達自身がこの警告を聞いているとはいえ処方箋に対する扱いがほぼ変わっていないからです。このオピオイド処方箋に対するMD達の振る舞いがオピオイドの乱用、悪用、そして中毒に結びつき、毎年何千人もの人々が全米で亡くなっています。

最近Spine(スパイン)という定期刊行雑誌で、オピオイド治療と脊椎マニピュレーション治療を慢性の腰痛を持つ高齢者達に施して安全性を比べる研究が発表されました。5年間のデータを調べた結果、有害反応は最初にオピオイド治療を選んだグループではなんと、最初に脊椎マニピュレーションを受けた患者達の42倍となりました。

この研究からマニピュレーション治療はオピオイド治療と比べると有害反応に対してかなりの確率で安全であり、慢性の腰痛患者に対してのオピオイド治療は危険性がとても高いとわかります。そのうえ、高齢者は若い人々に比べてオピオイドを使用しやすい傾向にあり、ただでさえ複数の処方薬を服用している高齢者達にまた一つ過剰な負担が増えることになるのです。

この研究チームはオピオイド治療とマニピュレーション治療を比べ、カイロプラクティックがMDの処方箋よりも安全で良い選択だと結論づけています。私達カイロプラクターにとってはわかりきっていることですが、Spineという有名な雑誌がこの記事を掲載してくれたことに意義を感じます。

この記事をみてMD達がオピオイドの処方を減らすでしょうか? もちろん減らしてくれることを願いますが、正直わかりません。ただこういう研究がなされ、カイロプラクティック治療のほうがMD達の治療より安全で効果的であるという研究結論の記事は私達を勇気づけるものですし、これからも日々正しい治療を行えば、またこのようなエビデンスベースの研究発表がなされ、カイロプラクティックの評価も自然とどんどん上がっていくはずです。これからもカイロプラクティックの力を信じて治療していきます。


妊娠中の腰痛

妊娠中の悩みの一つは腰痛です。それは妊婦さんの50%にみられると言われています。妊娠前の腰痛レベルに戻るのには6ヶ月以内が大半ですが、37%の人たちは1年、18%は産後6年腰痛で苦しむとも言われています。

治療には、薬物治療と非薬物治療があり、それぞれのアプローチに関する比較記事がありました。

慢性骨盤痛に苦しむ300人の女性にガバペンチンという痛み止めにも使う抗てんかん薬が、プラシーボグループとに分けて16週間投与されました。結果はガバペンチン投与グループでは痛みは改善されず、副作用だけがプラシーボグループより目立ちました。

腰痛には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬が一般的ですが、妊婦さんに対する安全性に問題があります。妊娠中の使用では、子供の注意欠陥障害や自閉症を発症するリスクが高くなり、また別の研究では小児喘息との関連や流産の危険性などが高くなるとのことでした。

非薬物治療は、適切な情報で安心させる、適切なエクササイズ、そしてマニピュレーションです。個人に適した有酸素エクササイズは妊婦さんの気分を良好にし、脊椎を支える筋肉の強化、運動神経の働きの改善、椎間板への栄養補給が高まるなど良いこと尽くしです。

全米産婦人科ジャーナルに記載された研究では、マニピュレーションも妊婦さんへの治療法として安全で効果があると結論付けています。それはエクササイズ治療を含むカイロプラクティック治療と一般的な産婦人科治療の比較研究で、カイロプラクターとMDのチームを集めて行われました。疼痛改善の結果はグラフで発表され、何十倍もの差で圧倒的にカイロプラクティック治療の方に疼痛の緩和が見られました。もちろん効果だけでなく副作用もありませんでした。

長く臨床をしていればこのような結果は日々肌で感じていることです。しかしこの研究が全米産婦人科ジャーナルで発表され、DCとMDチームで行われたことに意義があると思います。

妊婦さんへのマニピュレーションは注意が必要です。腰椎マニピュレーションでもローテーションはなるべくかけない方がリスクを減らす可能性が高いです。もちろんお腹に負担をかけることは避ける必要があります。うつ伏せがなかなか出来ないはずなので、ニーチェストテーブルを使ったり普通に座ったまま腰椎や胸椎をマニピュレーション出来るテクニックは身につけておく必要があります。もちろんエクササイズも患者さんの話を聞き安心させることも私たちが出来る大事な治療です。これからももっとカイロプラクティックの効果を妊婦さんへ発信していきたいです。


エビデンスベースの必要性

扁桃腺炎に対する脊椎マニピュレーションの有効性と免疫機構への効果を示す研究発表の記事がありました。

3歳から65歳の患者たちに、脊椎T9とT10への高速で弱いソラストが施され、その後の扁桃腺炎の持続期間とエピソード(発症)を調べました。プラシーボグループ40人とマニピュレーショングループ79人に分けられ、マニピュレーショングループは2.03日でエピソードが治まったのに対して、プラシーボグループは2.39日でした。翌年、扁桃腺炎の再発が起こらなかったのはマニピュレーショングループ60.8%、プラシーボグループ22.5%でした。MDは扁桃腺炎の治療に非ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、そして子供には手術も行いますが、マニピューションはそれらの処方や手術を大幅に減らせる可能性もあります。

椎骨T9とT10はコルチゾールというホルモンを作り出す副腎を神経支配しています。扁桃腺炎を患っている患者たちはコルチゾールの分泌が変調していることが分かっていますが、免疫機構に影響を与えるこのホルモンの変調レベルが、胸椎マニピュレーションの後で修正されたことも分かりました。

実はこの研究はオステオパスたちの研究で、彼らはインフルエンザに対するマニピュレーションの役割という研究発表もしています。今猛威を振るっている新型コロナウイルスに対する研究もいずれ出てくると予想されます。頸椎上部へのマニピュレーションが血圧を下げるという有名な研究もシカゴ医学大学の研究でした。

日本でもカイロプラクティック普及のためにエビデンスベースの必要性が叫ばれています。私たちのマニピュレーションは腰痛などの筋骨格治療に対しての治療が多く、それに関する研究は少なくありません。しかし長く臨床を続けていれば必ず経験しているはずです。私達の施すマニピュレーションが無限の可能性を含んでいることを。以前首の痛みに対して頸椎にマニピュレーションを施したところ、顔のむくみが気になっていたその患者さんが、むくみがとれて子顔になったと笑顔で報告してくれました。治療によってリンパの流れが良くなりむくみが取れたのでしょう。このように筋骨格に限らず、マニピュレーションによって好転する私たちが体験した様々な実例をカイロプラクター自身で研究し世界に発表できたら最高です。これが私たちの認識度や信頼性を勝ち取るのに一役買うことは確かなのですから。


カイロプラクティックのCMその後

以前カイロプラクティック業界が製作したコマーシャルが東京オリンピック期間中に放映されるという記事を書きました。コロナの影響で東京オリンピックは2020年から2021年に延期になり、しかも無観客で行われることになったので本当にコマーシャルが作られて流されるのか心配していました。しかし30秒のCMを期間中に5回流すという予定を大幅に上回る25回ものコマーシャルがここアメリカで放映されたとのことです。これは推定2億9百万人の視聴者がCMを見た計算になります

「I Know Pain‐私は痛みを知っている」というコマーシャルがカイロプラクティックプログレス財団と米国カイロプラクティック資格試験機構の努力とサポートによって製作され、そのCMは元オリンピック選手でありその時の体験から現在はカイロプラクターとして活躍しているエリカ・ウィッターデイビスDCが出演しました。

財団の社長は「カイロプラクティックケアが人々の健康をどれほど改善し、人生をも変えることがあるのかということをこのCMで視聴者に強く印象付けたいと願い、私たちは初の全国ネットコマーシャルを製作したのです。しかし、これほどまでに圧倒的な素晴らしい認知や評価を受けるとは思いませんでした」と述べています。テレビCM放映後の効果は絶大で、財団のウェブページやソーシャルメディアでのカイロプラクティック大学、そしてカイロプラクターの検索数は大いに上がりました。

また数々の賞も受賞しました。オンラインコマーシャル非営利団体に送られるテリー賞では金賞、ビデオ製作部門ではビディー賞で金賞、レーガンズPRデイリー賞で特別賞、デジタル健康賞にて銅メダルが与えられました。

今、二つの思いがあります。一つは色々な賞の名前を見てもコマーシャルを見た視聴者の反応もやはりネットがほぼ中心であるということです。時代はデジタルでこれからもネット社会が大きな役割を占めてくるのだと感じました。カイロプラクティックをこれからも広めていくためにはネットを駆使していくことが成功への一つのポイントであることは明らかです。これだけの人々にカイロプラクティックを知ってもらいネット検索も上がりました。しかし、二つ目の思いとして、やはり実際に患者を治療するのは私たちの手です、最後はアナログな手技が必要なのだということです。一人でも多くの患者の健康促進を手助けできるドクターでありたいと思うのです。


DCたちの賢明な声

新型コロナウイルスの発生からもう丸二年になりました。そんな中カイロプラクティック業界でも一つの大きな話題がありました。ワクチン接種が始まった頃、全米の接種会場で長蛇の列ができ、MDと看護師が注射を打てるのですが、それでは3億近い人口にはペースが遅すぎるとし薬剤師も加えました。そのお陰で町のいたる所で接種が可能になりましたが、それでも足りず、歯科医、救急医療技師、検眼医、獣医等も加えるよう検討されました。

そんな中カイロプラクターたちもワクチン接種をする側に加えるべきだ、と全米カイロプラクティック協会(ACA)が提案しロビー活動を始めました。ACAはヘルスケアプロフェッションとして基準を満たしている私たちには資格があると主張し、全米での特別支援に対する公衆衛生的な働きの中にDCを含もうとしました。

この提案に対する質問調査が千人以上のDCたちに実施されましたが、80%がACAのロビー活動に反対の立場を取りました。反対意見のいくつかですが「予防接種は医療的処置の一部でカイロプラクティック活動の範囲外である」「私たちは己の時間を自分たちが受けたトレーニングに第一に真心を持って集中すべきで、医師の医療行為事業に首を突っ込むべきではない」「絶対反対。個人的にはワクチン接種には賛成だが法律上の責任をこれ以上私のクリニックに課したくない」「私たちは注射という形で医薬品を投与するトレーニングを正式には受けていない」「ACAメンバーとして資金がこのようなロビー活動に使われるのはいらいらさせられる」などでした。

接種する側に回れば金銭的補償が得られ、コロナ禍で収入減のなか助かるという側面があります。しかし私個人的には皆の意見を見て安心しました。ACAはなぜワクチン接種の処置を推し進めようとしたのでしょう?確かに採血のトレーニングは学生時に受け、肘が次の日内出血で紫色になり皆でその大きさを笑いながら見せあった思い出もあります。しかし医薬品を注射で投与する教育は誰も受けていません。もちろんMDたちと肩を並べたい、彼らが出来ることは私たちも出来るというACAの思いはわからないわけではありません。私たちも主要なヘルスケアの一員だと知ってもらう良い機会であったとも思います。しかしカイロプラクターはMDになる必要はないし、MDの医療行為を行う必要もありません。私たちは私たちの信ずる治療がありその治療に専念したいと考えます。


腰痛の死亡率調査

ボストン大学医学部とミネソタ大学医学部のメンバーによって、腰痛と死亡率に関する研究が行われ、権威ある総合内科医ジャーナルで、それが発表されたという興味深い記事を見つけました。腰痛と死亡リスク増加の関連性、腰痛の重症度による関連性の違いなどを過去5年から23年前までさかのぼり調査しました。腰痛持ち者の死亡率全てを調べ、患者の数は8万人を超えました。

軽症の腰痛持ちの中では増加の確認はされませんでしたが、重症の腰痛患者の中では26%の死亡率の増加が認められました。これは臨床的に極めて重大な結果であり、重篤の腰痛患者に知らせておくべき情報であると研究チームは位置づけています。

死亡率増加につながるメカニズムや関連性として、重篤な腰痛を持つ患者は日常の生活活動が困難であり、疼痛によって機能制限が限られてしまう、運動力が低下するので体重増加に繋がり循環器系疾患を発生し悪化させてしまう、腰痛は身体のバランスを崩し転倒や骨折に繋がる、腰痛と自殺の関連、腰痛に対するオピオイド系の繰り返される処方による依存、中毒性、過剰投与、非ステロイド系鎮痛剤による循環器系疾病の危険性増加、脊椎手術による0.4%の死亡リスク、さらに、治療を拒んだり、危険な自己治療からの障害などです。

これを読みながらこの文献は、私たちカイロプラクターのために、研究してくれたもののようだと気づきました。私たちの治療は、機能制限障害を助けることができ、日々の生活活動を促すことが出来ます。機能制限が改善すれば、運動活動も上がり体重増加や循環器系疾患を減らすことが出来ます。身体のバランスを整えるのは、私たちの治療の強みです。毎日当たり前のようにバランスを診て治療しています。腰痛患者へ処方されるオピオイドや非ステロイド系鎮痛剤も、マニピュレーションによって減らすことが出来ます。もちろん私たちの治療は、不必要な手術を回避するのを助ける可能性もあります。

米国内科医師会等をはじめ、数々の研究で急性、慢性腰痛の最初の治療オプションは、マニピュレーション等の非薬学的治療が推奨されています。また研究チームは、脊椎に対する治療的エクササイズは腰痛の予防になるとし、最高で41%新たな腰痛の予防にもなるとしています。私たちは一箇所の問題点だけではなく、身体全体を診れるドクターです。このメッセージが一人でも多くの患者たちに、伝えられるよう日々の治療に励まずにいられません。


42倍の危険率

最近このようなテーマを取り上げることが多く、オピオイド(麻薬性鎮痛剤)についても以前書いたのですが、驚くような調査結果の数字を見つけたため伝えられずにはいられませんでした。ここ数年カイロプラクティックを含む、薬に頼らない治療を推薦する、莫大なエビデンスベースのオピオイド系薬剤の危険性を説くガイドラインが推奨されていますが、MDたちはなかなか聞く耳を持ちません。

「スパイン」という著名な機関紙の中で、65歳から84歳までのシニア世代の慢性腰痛に対するオピオイド使用と、脊椎マニュピレーションの安全性を比較した調査がありました。高齢者保険のデータに基づいた5年に及ぶ追跡調査です。全ての患者は脊椎マニュピレーションかオピオイド又は両方を受けてきた3つのグループに分類され、両方を受けたグループはマニュピレーションを受けた後、オピオイドに変更またはその逆といったような治療を受けていました。そしてこれらグループの調整値から、最初にオピオイド治療を受けた方が最初に脊椎マニュピレーションを受けるより、なんと42倍も有害反応が高かったという結果がわかったのです。

先日私は歯医者で抜歯した後、抗生物質と痛み止めの処方箋をもらいました。処方箋には薬の名前が書いてあるだけなので気づかなかったのですが、家に帰って説明書の詳しい内容を見ると、なんとオピオイド系の痛み止めでした。こんなにも簡単に医師たちは、オピオイド系の薬を処方してしまうのだと驚愕しました。しかもこれがオピオイドだという説明は、医師からも薬剤師からも何もありませんでした。さらに説明書に気づいたのは妻だったので、私はその痛み止めがオピオイドだと気づかなかった可能性もあったのです。オピオイドとわかって飲んでいる人たちもいるでしょうが、麻薬性とは知らず単なる痛み止めという見解で飲んでしまう人たちも沢山いるはずだと確信しました。世間でオピオイド系の薬は危険だと言われ始めていても、患者たちがオピオイドとは何であるかを知らないと意味はなく、知っていても私のように医師や薬剤師からの説明がなければ、見過ごしてしまう危険性があるという体験を今回しました。これからもカイロプラクターとして、オピオイド等の処方薬の危険性を説き、薬に頼らない医師たちがいることを、声を大にして伝えていかなければと再認識しました。


筋弛緩薬の実状

アメリカで骨格筋弛緩薬は、40年以上使用され続けており、使用者も毎年増え続けています。この10年で筋弛緩薬の処方箋の数は2倍になり、毎年三千万枚を超える処方箋が書かれているとのことです。この半数以上は腰痛関連の患者に出されており、その中でも高齢者に対しての過度に、高い使用率が報告されていますが、実はこの年代には潜在的に不適切な医薬品(効果がないまたは危険性がある)であると考えられています。そこで今回は、筋弛緩薬とマニピュレーションを比較した研究について記したいと思います。

亜急性の腰痛持ち患者たちでカイロプラクティックマニピュレーション、筋弛緩薬、擬似薬をそれぞれ使い、ランダムで二重盲検法の臨床試験が行われました。結果は、マニピュレーションは筋弛緩薬と偽薬よりも、約50%痛みの軽減や機能改善に効果的という結果が出ました。さらに驚くのは、筋弛緩薬は偽薬よりも効果的であるという結果が出なかったのです。

以前の試験では、筋弛緩薬の疼痛や機能改善への効果が少し見られていましたが、その後数々の臨床試験において、筋弛緩薬は偽薬と変わらないと言う結果が増え続け、筋弛緩薬として人気の7種類の調査でも、偽薬と効果は変わらないと言う結果が出ました。また、アメリカ合衆国保健福祉省による分析調査でも、偽薬より良い効果があるとはやはり認められませんでした。

このように効果がないと言われる研究が多くあるにもかかわらず、年間3千万の処方箋が書かれていることに驚きです。効果作用がない薬を与えているということは、身体にとっては副作用しかないわけです。副作用だけの化学薬品が患者に出され続けていると考えると恐ろしいことです。ある研究では骨格筋弛緩薬の有害事象は50%以上に上り、神経経路に関しては104%も有害な症状が出ています。自殺未遂は84%も増え、高齢者では40%骨折が増えたという結果もありました。

挙げたらきりがありません。マニピュレーションを患者に行える私たちカイロプラクターは、薬の危険性と効果に対してもっと声を上げるべきです。しかしそれ以上に、マニピュレーションによって症状が緩和されることを患者自身に身を持って感じてもらうことによって、世界中の患者自身からも政府や保険会社に薬の危険性、カイロプラクティックの安全性、効果性に対して声が上がるくらいまで、私たち一人一人が確実に治療していくことが一番大事であると信じます。


調査や研究からのエビデンス(124号掲載)

興味深い統計があります。アメリカでは、頚椎と腰椎の手術数が驚くほど多く、ニュージーランド、オーストリア、カナダ、ノルウェー、フィンランドの200%以上、イギリスの340%であるというのです。アメリカ人だけが、特に脊椎痛や症状が重くなる比率が高いのでしょうか?文献によるとそういうわけではないようで、国によっての身体的違いはなく、地域の違いで首や腰の疼痛率が変わることもないということです。

一言で言えば、アメリカは脊椎手術をやり過ぎており、イギリスの340%もの手術数などという数字はほとんどの患者、多分MDも知らないことでしょう。しかし効果があるとなぜか信じられていて、多くの患者が同意して手術を受けるようです。

手術によって、更に重篤な結果になってしまう例も多々あるようです。あるメディカル研究チームによって行われた調査では、手術失敗における再手術の割合は22%以上、重篤な術後痛と障害を持つ確率29%、脊椎手術後に亡くなられる患者は1000人に一人、視覚を失う患者も1000人に一人以上の確率だということです。

「手術、究極のプラシーボ(偽薬)」の著者DR.イアンハリスは、整形外科医だけでなく教授、研究科学者、そして脊椎固定術のエキスパートです。彼は脊椎手術について以下のように述べています。「腰痛に対する脊椎固定術が効果的だというエビデンスはあまりない。手術はとても高価なもので合併症を引き起こすこともあり、さらに多くの確率で再手術が必要になり、脊椎が固定されずに終わることさえある。誰かが得をしているのであろうが、患者でないことは確かだ。」

このように、カイロプラクターの著書ではなく、MDや他の研究者がカイロプラクティックの有効性やそれに通じるものを書いた文献や出版本は実は意外にあります。DR.ハリスの著書では、だからと言ってカイロプラクティックを勧めているわけではありません。しかし勇気ある内容であり代替医療としてのカイロプラクティックの安全性をより浸透させ得るものであると思います。

後は私たちカイロプラクターが、このような正しい数が導き出されている文献や著書を、どのように使い、エビデンスとして知らせていけるかです。治療を行い患者を助けるという当たり前のことももちろん大事ですが、エビデンスを求める人々が多い最近の傾向の中、彼らが求めるものを提供するのも未来のカイロプラクティックに必要なのかもしれません。


コロナ禍でのカイロプラクティック(123号掲載)

残念ながら世界で一番新型コロナウィルス感染者を出している国は、世界最先端の医療を自負しているここアメリカであり、現在多くの州が2度目のロックダウンを強いられています。ロサンゼルスでは新規感染者数が2万人を超える日もあり、重症患者用のベッドの空きがほとんどありません。救急車が患者を乗せたまま、病院の入り口で何台も待機している地域もあり、医師が患者を先着順でなく、重症順でしか受け入れられないと訴えています。今コロナに感染するということは、命の危険が伴うのだということを肌で感じています。

それに加え、今コロナ禍で自殺者も増えてきており、ある研究では昨年に比べ100%以上の増加となっているそうです。最近アメリカのニュースでも、日本の一ヶ月の自殺者数が、コロナウィルスによる死亡者数を上回っている、と放映しているのを見て驚きました。

ここに総合内科ジャーナルが発表した文献があります。慢性腰痛を持つ約14万人のアメリカ陸軍隊員が非薬物療法を受け、その中の約四分の一がカイロプラクティック治療を受けました。治療後は疼痛軽減、機能回復、ウェルネス改善などと同様に、慢性痛による心身の衰弱も軽減されました。それは弱りきった心身を紛らわすために、摂取するアルコールや薬物、偶発的な中毒症状や自殺に発展する自傷行為を減少させる結果になったのです。もちろんこの発表一つだけで、カイロプラクティックが自殺誘発を防ぐとは結論付け出来ませんし、すべきではありません。戦地に行く隊員たちが受けるトラウマや精神状態は、一般人には計り知れないものでもあります。しかし今、世界中がコロナ禍の中にいます。経済的、精神的、身体的にたくさんの人が多くの犠牲を払い苦しんでおり、その一つの表れとして自殺者が多く出てしまっています。もしカイロプラクティック治療が、患者の命を一人でも救うことが出来ればこんな喜ばしいことはありません。カイロプラクティックは、知らない人から見ればミラクルを起こしているように見える時が多々あるかもしれません。しかし私たちカイロプラクターは知っています、ミラクルでもなんでもないことを。私たちの治療は、人間の治癒力を高め、生きる力を与えられる可能性を秘めた素晴らしい職業です。


インフォームドコンセント(122号掲載)

倉庫で働く男性が、長期にわたる腰痛のため整形外科や物理療法に通っていたが、良くならずカイロプラクターであるDr.Aを訪れました。Dr.AはL5-S1に進行した変形性関節症を見つけ、低周波、ストレッチ、コックステーブル治療を2週間行ったが、腰痛は酷くなり長時間の着席直立が難しくなりました。結局患者は整形外科で、脊椎椎体固定術を受けました。

患者は、「カイロプラクティック治療が症状を悪化させる可能性があるというインフォームドコンセントが十分でなかった」、「MRI検査や他の医療法への紹介もすぐ行わなかった」と主張し、画像診断からその箇所が弱く、悪化しやすかったことなどを先に警告していれば手術に踏み切った可能性があったとDr.Aを過失罪で訴えました。

Dr.Aは、カイロプラクティックは非常に安全だが、全ての医学的治療法には多少のリスクがつきものだと、最初にきちんと説明をした上で、患者がインフォームドコンセントにサインをしたし、コックステーブルも長年問題なく行われている治療法である、また患者の症状はいつどこででも悪化する可能性があることも説明した、と証言しました。

陪審員はDr.Aの無罪を言い渡しました。患者の職業がら腰痛悪化はいつでもあり得るし、すでにMDなどの治療も受けている、カルテにはインフォームドコンセントを事前に説明し同意してもらったことが記録されている、一般的な治療から逸脱はしていないと結論に達したからです。

これがMDの意見が比べ物にならないくらい幅を利かせていた30年前では、DCの地位も低く陪審員も確実に患者よりになる傾向が強かったため、違う結果だったかもしれません。しかし先輩達の努力により沢山の患者がカイロプラクティックの恩恵を受けてきたため、最近ではMDがDCへと患者を紹介することが多くなってきています。現在インフォームドコンセントは歯科医、DC、MDは必ず取るよう指導されており、これが医師を救い患者にリスクがあることを知らしめることで、新しい患者との関係が構築でき、互いに納得して治療が進められます。インフォームドコンセントは、これからの日本でも必須になってくるでしょう。


保険会社の画期的なプログラム(121号掲載)

アメリカのほとんどの医療保険にはディダクタブルというものがあります。これは保険会社が治療費を支払い始める前に、まず患者が支払わなければいけない年間自己負担額です(平均$500~1000)。この金額を患者が払い終わった後に保険会社が治療費を負担し始めますが、さらにCo-payという一定額($10~50)もサービスを受けるごとに毎回発生します。 

ユナイテッドヘルスケアという全米屈指の健康保険会社が画期的なプログラムを発表しました。雇用主加入による保険で急性腰痛に対するカイロプラクティック治療の自己負担額を0にするというプランです。すべての自己負担額無しで、治療3回までであればカイロプラクティック治療をある意味無料で受けられるのです。 

このプランの意義をユナイテッドヘルスケアの最高メディカル責任者ドシモMDが説明しています。「この新しい試みは、根拠に基づいた最良で手頃な価格の治療へのアクセスを広げ、腰痛に苦しむ患者たちが正しい時に正しい環境で正しいケアを受けることを促進させてくれることになり得ます。そして費用の削減もしながら多くの腰痛に苦しんでいる人々の健康が回復していくという大変有意義な変化が生まれるでしょう」。 

このプログラムによって脊椎映像診断22%、脊椎外科手術21%、オピオイド合成麻酔薬が19%削減できる可能性を秘めています。これらの削減を統合すると約20%以上の医療費削減が可能であり、利益を追求する保険会社にとっても有益なものだと思われます。しかも被保険者や雇用主の負担額も減るのです。全ての人々にとっての費用対効果が認められて選ばれたプロフェションがこのカイロプラクティックなのです。しかもMDの最高メディカル責任者にカイロプラクティックは科学的根拠に基づく最良の治療であり、急性腰痛にとって最も適切なケアだと言わしめたのです。 

私たちカイロプラクターの日々の努力が確実に実を結び始めています。この流れを他の健康保険会社にも結びつける必要があります。このプランでカイロプラクティックの力を体感できた患者たちの声がこれから大事になるでしょう。 


カイロプラクティックのCM(120号掲載)

2020年の東京オリンピックとても待ち遠しいですが、実はそのオリンピック期間中にカイロプラクティックプログレス財団と米国カイロプラクティック資格試験機構の財政的サポートにより、カイロプラクティックのコマーシャル(以下、CM)を放映するという素晴らしい企画が進んでいます。これはカイロプラクティック誕生125周年を祝う行事の一環として行われる予定で、期間中に30秒のCMを5回流すという事です。CMはアスリートや他の人々がドクターオブカイロプラクティックを職業として選択したいと感じられるような、そして自身や家族がカイロプラクティック治療を受けてみたいと思えるような内容となっており、前オリンピックアスリートで今現在はカイロプラターとして活躍しているドクターも出演する予定だそうです。 

米国カイロプラクティック資格試験機構の最高経営責任者ノーマンオウツDCは、「カイロプラクティックの職業価値や患者として受けられる治療の価値を世界に知らしめるにはこれ以上のチャンスはない。この歴史的なCMイベントは2千3百万以上の世帯に届く予定でありそれらの人々にこの素晴らしい専門職がどんなにやりがいのあるものかそして各々が最善な健康を維持するためにどれほどカイロプラクティックケアの利用価値があるかを知ってもらえるものだ」と発言しました。この後、他の団体や個人でのサポートを約束する声が多く上がりました。 

これまでもさまざまなメディアがカイロプラクティックの事を取り上げてくれる機会はありましたが、このように膨大な視聴者数のテレビCMとなればまた話は別です。しかもカイロプラクティック団体が自分たちの伝えたいことを自分たちで製作し何千万人かに向けてCMをそれも世界で最も見られるスポーツイベントであるオリンピック番組の放映時に流せるのです。もう一つのアメリカ最大のスポーツイベントであるスーパーボウル(フットボール決勝戦)でも、どのCMが面白かったかが翌日話題になるほどCMのインパクトは大きいです。カイロプラクティックのCMが人々に与えることができる影響力を心待ちにしています。


 マニピュレーションと動脈解離(119号掲載)

2016年、一人のハリウッドモデルが首の痛みと頭痛でカイロプラクティックオフィスを訪れ、頚椎のマニピュレーションを受けました。その数日後に彼女は脳梗塞を起こして病院で亡くなり、10ヵ月後に検死医から彼女の死はカイロプラクターから受けた頚椎マニピュレーションが原因であると発表されました。正直このニュースを聞いた時患者さんから何か聞かれるかな?と思いましたが、不安がる方もおらずこの件に関しての質問は一つもありませんでした。全米でもニュースになり、その後日本のネット記事で「モデルの死因はカイロプラクティック」とありました。テレビ番組でも取り上げられ偏見に満ちた文献を引用して、あたかもカイロプラクターが人を殺したといわんばかりです。まず、この検死医は死因を動脈解離から起こった脳梗塞だとし、他に特別な異常を見出せませんでした。原因が見極められなかったため患者の病歴、通院記録を調べ、後にカイロプラクティック治療を見つけ、その数日後に亡くなったという時間的な事実だけでマニピュレーションが原因だと決めつけただけです。彼女はカメラマンの要求で首を何回も無理なポーズでひねり、その時首を痛めたこともわかっていました。なぜ検死医はそれが原因と疑わなかったのでしょう。

自然に起きる可能性が高い病気なので、偶然このタイミングで起こった可能性も十分考えられます。

様々な研究から頚椎マニピュレーションは頚動脈にストレスを与える原因にはならない、血液の流れや速度にも変化をもたらさない、首の可動域の方がストレスを与えるとわかっており、ある医学大の神経外科医たちは、カイロプラクティックマニピュレーションと頚椎動脈疾患を関連付ける証拠は何もないのに、多くの偏見が存在し、その考え方が適切でない訴訟へと導かれていると発表しています。実際MDの診察後にも同じことが起こっていますが、問題にはなりません。私たちはこのような事実を挙げて冷静に対処することが必要です。マニピュレーションには素晴らしい可能性があります。臆することなく、しかし慎重に患者の状態を把握して、治療に努めたいと強く思います。


はしかとワクチン(118号掲載)

今年に入りアメリカでは麻疹(はしか)が大流行となっており、日本でも麻疹の感染が拡大しているというニュースを見ました。このニュースを聞いて私は驚きを隠せませんでした。アメリカでは1966年から麻疹根絶のためにワクチン接種が始まり2000年に麻疹の撲滅宣言がなされ、2016年には疾病対策センター(CDC)がアメリカ大陸における麻疹のエンデミック伝染の根絶を発表していたからです。ワクチンのおかげで麻疹は根絶されたはずでした。しかし米厚生省は今年6月感染数が1001人になったと発表し、このまま流行が続けば「根絶国の地位」を失う恐れがあるとCDCは警告しています。

ここロサンゼルスがあるカリフォルニア州ではワクチン接種に関しては個人の自由が認められ、以前は様々な理由で子供達のワクチン接種を拒むことが出来ました。しかし2015年にパブリックスクール(公立校)に通う全ての生徒のワクチン接種が義務付けられたため公立校の子供達は全員ワクチンを受けています。しかしこの流行で地元の二つの有名なロサンゼルス大学では何百人もの学生と教員が麻疹感染の恐れありと自宅隔離を余儀なくされました。もしワクチンが機能するのであれば2015年からほぼ全ての学生達がすでに接種しているのですから、ウィルスが蔓延しようが麻疹にかからないはずです。ウィルスはアジアなどの第三国から持ち込まれたのだと説明する団体機関が多くいます。しかし同様にもしそうであってもワクチンが機能するのであれば問題ないはずです。この矛盾にほとんどの人々は気が付いていません。それどころかワクチン接種を推進する動きは高まっています。ワクチンは私達の免疫機構の作用を外部からの力で強制的に使います。副作用もありますし、作用も今回のエンデミックをみてもあまり効かないのは明らかです。私達カイロプラクティックも免疫機構の作用を促す効果を促進できます。自分達の体に本来備わっている自己治癒能力を最大限に引き出し、細菌やウイルス、病気などから身を守る免疫力を上げる手助けが出来る私達のカイロプラクティック治療がこの矛盾を解く鍵かもしれません。


非薬物治療への方向転換へ(117号掲載)

アメリカにはオプタムヘルスという大きな健康保険会社があります。そこの臨床プログラム副部長のデビット・エルトンDCが国立科学アカデミー医学学会で「疼痛管理における非薬物的アプローチの役割」と題し、腰痛などに対するカイロプラクティックや他の保存療法の多大な有効性と費用削減について発表しました。

1億2千5百万人もの顧客に影響を及ぼすであろう今後2年間の彼の展望は、患者たちはまずカイロプラクティック、鍼灸、物理療法から治療を始めるべきだと言うものでした。自社での費用計算では一回のエピソードにかかる平均費用はカイロプラクティック、鍼灸、物理療法から始めた場合は約6万2千円、主治医から治療を始めた場合は7万3千円、専門医から始めた場合は17万3千円。現時点ではまだDC、鍼灸、物理療法を最初に訪れるのは30%、専門医は40%、主治医は30%ということです。オプタムへルスのゴールは2年間でカイロプラクティックや保存療法への患者を30%から50%強にすることです。そうなると一年で約230億円もの費用削減が望めるとのことなのです。

また世界各国の医師に絶大な信頼を受け、最も評価の高い医学雑誌「ランセット」に最近、世界規模で行われた腰痛予防と治療についての論文が発表されました。この30年でガイドラインは大きく変わり、最も強調され始めたのは薬物投与と外科的治療からの脱却です。最初の治療はエクササイズ、マニュピレーション、鍼灸、物理療法が適切で最後に薬物投与と外科的治療が推薦されています。

このような新しい見解は最近よく耳にしますし、大きな保険会社がカイロプラクティックなどの費用効果の高さを認識し始めたことは喜ばしいことですが、まだまだ多くの患者は投薬やステロイド投与、手術などを主とするMDを腰痛で訪れるのが現実です。数々の論文から費用効果でも治療効果でも、カイロプラクティックが腰痛治療に対して優れていることは事実です。あとは私たちがこれをどう人々に伝えていくかです。50%といわず腰痛になったらまず100%カイロプラクティックへという時代が来るのを夢見ています。


カイロプラクティックの予防効果(116号掲載)

痛みがあるから病院へ行く、これが普通です。しかし痛みがない時にでも健康維持や管理のためにカイロプラクティック治療をメンテナンスケアとして続けると、結果として痛みの予防になるという研究がありました。治療を定期的に受けた患者たちは一年を通して腰痛の痛みや不快感を感じる日数が劇的に減りました。研究は18歳から65歳までの腰痛持ちの患者328人がランダムに集められ二つのグループに分けられました。定期的にメンテナンス治療を一年間受けるグループ、もう一つは腰痛が出た時だけ治療を受けるグループです。毎週研究者はたった一つの質問をしました「先週腰痛に何日間悩まされましたか?」。一年後メンテナンスケアのグループの方が痛みを感じる日々が12.8日少ないという結果になりました。この約2週間、メンテナンスを受けていない患者たちは日々の生活が困難になっているわけです。会社や学校に行けない、予定のキャンセルなどということが起こっていたかもしれません。

別の研究では6ヶ月以上腰痛に苦しむ患者たちにまず月12回マニュピレーションを施し、その後9ヶ月間一つのグループは2週間に一度の治療、別のグループは何も受けませんでした。メンテナンスケアを続けた方は相当な改善が見られましたが、1ヶ月だけのグループは痛みや障害等が戻ってしまいました。

私たちは予防医療も大事だと説いていく必要があります。私のクリニックでは痛みが伴わなくてもマニュピレーションを含む治療を受けに月に1~2度必ず訪れる患者たちもいます。彼らはメンテナンスケアで痛みや病気の予防が出来ることを実感しているのでしょう。病気の予防となっているのであれば時間とお金もセーブできているはずです。痛みがあるから、調子が悪いから病院に行くという現代の医療モデルから脱却してメンテナンスケアを受けにカイロプラクターや病院に定期的に通うというモデルが理想です。私たちはその予防治療を化学薬品なしで行えるのです。いつかカイロプラクティックケアが予防医学の中心になることを夢見ています。これは業界を変える大きな一歩となることでしょう。


炎症を抑えるサプリメント(115号掲載)

アメリカでは非ステロイド性抗炎症薬が、街中のドラッグストアであまりにも手軽に安く手に入るため、その使用量は驚くほど大量です。しかし薬の使い方を間違えると心血管、胃腸そして腎臓などに重い疾患を患う危険が高まります。毎年十万人もの患者達が非ステロイド性抗炎症薬関連での胃腸合併症で入院し、そのうち16,500人が亡くなっています。心筋梗塞や心不全、又は急性腎不全の危険性も上がり最終的には高価な透析が必要になる事もあるそうです。この薬の長期使用はこれ以外にも様々な危険を伴うため米食品医薬品局は10日以上使う人は医師の診察を仰ぐように推奨しています。

ここで私達カイロプラクターの必要性を感じます。非ステロイド性抗炎症薬を服用する理由の一つは、背中や関節の痛み、または軽い怪我の時の痛み止めとしてです。痛みや怪我の治療にはカイロプラクティックマニピュレーションを施しますが、炎症を引かせるためにサプリメントの服用を勧めるのも患者のためになると信じます。オメガ3脂肪酸であるEPA/DHAは身体の中でレゾルビンという非常に強力な抗炎症化合物に変えられます。また一部のオメガ3脂肪酸の中には、鮭の身をピンクにするアスタキサンチンという色素があり、これも抗炎症剤の役目をします。別のサプリメントではターメリック(ウコン)、生姜、インドに自生するボスウェリアセラータ樹脂なども抗炎症効果があります。

炎症部位では炎症自体がさらに痛みを作り出してしまうので、炎症を取り除く事は非常に重要です。危険な副作用をともなう化学物質を摂取するよりももっと自然な形で炎症を取り除けられれば患者の満足度は高まります。サブラクセーションを探してマニピュレーションを施すのが、私達カイロプラクターの特化した医療でもありますが、サプリメントの助言も大事な治療内容だと信じます。

一年で16,500人もの人が亡くなっているとは驚くべき数値です。声を上げて化学薬品の怖さを伝えていくとともに、サプリメント等もっと身近な自然界に存在する物で、同じ効果が得られる道がある事も伝えて行きたいと強く思います。


カイロプラクティック意識調査(114号掲載)

おもしろい調査結果を見つけました。患者は代替医療であるカイロプラクティックをなぜ利用するのか、どこに価値を見出しているのかというデータを集めた調査です。カイロプラクターに12ヶ月通ったおよそ1900万人、長期間ずっと通い続けている5500万人を対象に行われました。

まず通院する理由の一番は健康維持と疾病予防で43.6%でした。エネルギー向上が16.3%、競技や運動の成果向上が15.4%、免疫機能向上が11.4%、記憶と集中力向上が5.3%でした。

カイロプラクティックの恩恵では、身体全般の健康、痛み軽減又は気持ちが良い66.9%、続いて睡眠促進41.9%、ストレス減少又はリラックス40.2%、健康問題への対処効果38.5%、健康管理への意識効果32.5%、気分の向上27.4%、仕事や学校への出席率上昇17%、他人との関係改善13.3%などでした。

なぜMDだけの治療を受けないかという質問には、カイロプラクティックとMD治療の両立が助けになる64.8%、カイロプラクティックは症状だけでなく根源を治療してくれるから61.9%、MDの治療は特定の健康問題には効かない、カイロプラクティックは身体全体を見る、薬は副作用を生む等と続きます。

全体的に見て良好な健康状態を保つためにカイロプラクティックが重要と考えている患者達は約90%でした。

正直少し驚いたのは、通院する理由が私達が言い続けているカイロプラクティックの恩恵や効果とほぼ一致していることでした。やはり長く通院する患者達はそれなりに理由がありカイロプラクティック治療の素晴らしさを身体で感じてくれているのだと思いました。これは私達の歩みが正しいという一つの証拠です。患者はカイロプラクティックのことを私達が思う以上に理解してくれていました。しかし治療を受けた事がない人や私達の治療は腰痛だけだと思っている人々もまだまだ沢山います。カイロプラクティックが進んでいる道はまだ険しく目的地は遠いかもしれません。ですが確実に歩んでいる結果がここにあります。立ち止まっているわけにはいきません。


低すぎる有効性への懸念(113号掲載)

今季のインフルエンザは全米で猛威を振るっています。ここカリファルニア州だけでもインフルエンザがもとで2月の一週間の間に65歳以下の患者36名が亡くなり、去年の10月からではその数が163名にも上っています。病院は患者であふれ簡易テントを立てて対処しており、多くの薬局で治療薬が品切れになるという事態が起きています。これを踏まえ報道機関や医師達は予防接種を受けるよう勧め、それが唯一の正しい事であるかのように発言しています。

ですがここにショッキングな統計があります。ここ北半球より6ヶ月早く冬がやってきた南半球のオーストラリアでは今シーズンのインフルエンザ予防接種の有効性は10%だけでした。お隣の国カナダでは今現在で17%という統計が出ています。アメリカでも30%ほどにすぎません。この数値はあまりにも低すぎると思うのは私だけなのでしょうか。全米疾病センターの言い訳は「ウィルスが変異しワクチンの効かないものが出てきた」という毎年おなじみのものです。この低い有効性を見聞きしてもインフルエンザ予防接種に対する必要性や危険性に対する疑念があまり聞かれません。さらに懸念を覚えるのは予防接種の必要性への声が逆に最近高まりだしている事なのです。以前は学校が推奨する予防接種も理由があれば拒否できたのでカイロプラクターの子供達は予防接種を拒む事が普通でした。しかし今は強制となり拒めば通学できなくなりました。全てのワクチンをなくせとは思いませんが、予防接種に対する拒否権があることが望ましいと思います。食べ物以外の物質を身体に取り入れる最終判断はこちら側にあるはずです。

カイロプラクティック治療でイネートインテリジェンスを高める事で病気になりづらい身体になる可能性が高くなると言う真実にいつの日か気づいてほしいものです。そしてインフルエンザ予防接種の有効性と同じ土俵で、カイロプラクティックのインフルエンザに対する有効性の発表も毎年メディアから聞ける日が来る事を願います。その時カイロプラクティックの有効性に全ての人が気づくでしょう。


麻薬系鎮痛剤の使用を減らす法案(112号掲載)

前回の記事の続報です。ロードアイランド州の知事が、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)を使わないカイロプラクティック施術などは乱用や依存者に対する医学的に必要な疼痛治療であるとして、州の保険会社へ支払いを命ずる法案に署名しました。オピオイド危機と命名されているほどのこの状況に歯止めがかかり、国全体の政策変更の先駆けとなり得る法案です。

そして同じような素晴らしい流れがアメリカ全土でも起きつつあります。2万1千以上の医療施設(全米の病院の90%)やプログラムに対して認定を行っている医療施設認定合同機構が疼痛評価と治療について改正案を公表し、非薬物の疼痛治療の提供を必須にするよう認定病院に命じたのです。カイロプラクティックは痛みに対する非薬物治療の選択肢の一つであり、その中でもトップに定義されています。ただ、彼らは投薬治療を禁止している訳ではありません。オピオイドも非オピオイド処方薬も安全に使うことそして副作用の可能性も治療を通して教えるべきということを強調しています。

私のクリニックでもMDの投薬治療を嫌う患者達が日増しに増えています。こちらは管理型保険を持っている患者達が多いため、医師に支払われる治療費は非常に少なく、言い方が悪いのですが薄利多売のような経営になりがちで、病院などの待合室は患者であふれかえります。そして治療室に呼ばれるとバイタルや問診はアシスタントが行い、MDと顔を合わせるのは5分ぐらいです。私のところで問診に15分取るだけで患者は「ドクターとゆっくり話せたのは久しぶり」と嬉しそうに話されます。患者達は今のMDの治療法に疑問を感じ始めMDも患者達の気持ちに気づき始めました。2万1千という認定病院数はアメリカのほとんどの病院にカイロプラクターが常勤する可能性があるということです。ロードアイランド州のような法案が全ての州で可決されカイロプラクティック治療が薬の依存から抜け出したい患者達の救いとなるよう願います。


麻薬系鎮痛剤の使用を減らす治療の調査研究(111号掲載)

ウェドンDCは南カルフォルニア健康科学大学(前ロサンゼルスカイロプラクティック大学)の研究者であり統合医療における豊富な知識や経験から業界の第一人者です。その彼が、腰痛に対するオピオイド系(アヘン類似合成および内因性麻薬類似物質)鎮痛剤の使用を減少させるために非薬物治療が非常に効率的だと示す比較研究を行いました。

ニューハンプシャー州の保険請求データから3万3千人の腰痛患者を調査し、カイロプラクティックを受けた患者と受けてない患者達のオピオイド処方薬使用を比較しました。全体の約三分の一の患者がカイロプラクティック治療を受けており、そのうち38%の患者がオピオイド処方薬を使用し、受けていない患者では61%がオピオイド処方薬を使用していました。服用量もカイロプラクティック治療を受けたグループは、受けなかったグループの約半分以下で、費用も一人6千円程安いという結果が出ました。

カイロプラクティック治療を受ける事でオピオイドという麻薬剤を取らずにすみ、費用も安くつく可能性が高い事が分かりました。このオピオイド剤は合法的な鎮痛薬として使われますが、いわゆる麻薬で中毒性があり耐性もつくので摂取量もどんどん上がります。よくアメリカの著名人が鎮痛剤の取りすぎで亡くなったと聞きますが、ほとんどオピオイド系の薬の過剰摂取が原因とも言われています。医師の処方箋があれば合法的に簡単に麻薬が手に入るという、そんな医療に疑問を持たないぐらい薬漬けになっている現状があります。ウェドンDCのように大学での研究から沢山の研究発表がなされるシステムをこれからも望みます。ただその研究結果も人々に伝わらなければ意味はありません。今回のような真実を少しでも多くの人々に伝えるべく様々なツールを利用していく事が重要になってきています。私達臨床家もまずは一人ひとりを正しく治療しカイロプラクティックの恩恵を広めて行きたいと思います。


「大統領を治療するカイロプラクター」(110号掲載)

健康に関するベストセラーの著書があり、クリントン政権下ではスポーツフィットネス委員会顧問であったカプランDCは20年来のトランプ大統領のカイロプラクターでもある、という記事を読みました。

最初のきっかけは健康志向が高かったトランプ前婦人で、カプランDCの治療に満足した彼女はその後、ミスユニバースの専属ドクターに彼を推薦してくれたそうです。カイロプラクティックに関心があったトランプ氏に招かれ食事を共にしたり、カイロプラクティック哲学などを語り合い、トランプ氏の家族やスタッフも治療し始めました。トランプ大統領は健康志向で自然治癒の恩恵を探求しており、知識も非常に豊富だそうです。

20年前はトランプ氏が大統領になるなんて思いもせず、彼らの関係も全く政治的なものではなかったようですが、今ではカイロプラクティックに対して大きな敬意や知識を持っている彼が大統領になって良かったのではと言っています。

トランプ大統領にヘルスケアの将来を尋ねると前オバマ大統領が作ったものではなく、もっと効率が良い新しい保険制度を考えていると話していたそうです。カイロプラクティックが間違いなくその制度に含まれ、症状ファーストではなく、予防重視モデルの医療制度がアメリカに完備される事が彼の目標であると述べています。メディアと対立状態にあるトランプ大統領のニュースや彼を批判する記事を多く見かけることから彼がカイロプラクティックをこんなにも理解してくれているとは私はこの記事を読むまで知りませんでした。

もし、医療制度が予防モデルになり質の高い保険制度が確立されれば私達のプロフェッションにとっても喜ばしい事です。そのために今できる事は私達が一人ひとりの患者を正しく治療しカイロプラクティックの素晴らしさを伝え続ける事です。それがカイロプラクターの地位を上げ、現在のそして未来の大統領もカイロプラクティックを更に押し上げ続けてくれる結果になると思います。


米国内科学会の腰痛ガイドライン(109号掲載)

アメリカで、医者のところへ訪れる最も多い理由の一つが腰痛です。先日、約15万人の内科医がメンバーである米国内科学会が新しい腰痛に対するガイドラインを発表しました。医師達は急性や亜急性の腰痛には温治療、マッサージ、鍼灸、脊椎マニピュレーション等の非薬物療法での治療をすべきであり、もし薬が必要な場合は非ステロイド抗炎症剤か筋肉弛緩剤を選択した方が良いと推奨しています。

解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンはプラシーボ郡と比べても疼痛改善には効果が見られず全身性ステロイド薬も急性や亜急性の腰痛には効果がない事から医師達は不必要な検査、そして特に麻酔剤等など危険を伴う割高な薬などの処方は避けるべきであると述べられています。慢性の腰痛患者にも最初は非ステロイド抗炎症剤とエクササイズ、ヨガ、マッサージ、鍼灸、脊椎マニピュレーション等の治療を並走して行うべきだとも述べられました。

この研究を発表したのは内科医達最大の学会が発行している大変有名なアナルズ・オブ・インターナル・メディシンと言う医学ジャーナルです。内科医の腰痛に対する治療法は根本的に投薬しかありませんから、この研究の発表はある意味驚きでした。捉え方によると腰痛の患者達は内科医に来ても無意味ですよと発表しているようなものです。

しかし、この発表は私達カイロプラクターからすると遅すぎます。何十年も前から投薬の危険性、症状への治療だけでは根源治療にならない事、治療費の高騰を事あるごとに発言してきたのでようやく社会が追いついた感があります。でもどうして自分達の収入減少や製薬会社から睨まれる可能性がある文献を発表したのでしょうか。

私はカイロプラクター達の声、代替医療を司る医療者たちの声、それと最も効果がある患者達の投薬だらけの治療法に対する不満の声がこの発表を助けたと信じています。内科医達も投薬だけでは患者達は満足しないし、痛みを取り除くという結果も伴わないと認識したのでしょう。医師達の一番恐れる事は患者達からそっぽを向かれる事、患者達が治療内容を信じなくなる事です。

全米で腰痛に悩む多くの患者達が内科医達の紹介でカイロプラクティックを含む代替医療のオフィスに押し寄せることになるかもしれません。原因そのものを治療していくカイロプラクティックは、安全性と根治を求める患者達にとって最初の選択となり得ます。

今回、腰痛に対してはまず薬剤を用いない治療を試すべきである、と薬が最大の治療法である米国内科学会が発表した事に大きな意味があります。信頼を勝ち取る最高の舞台は整いました。


統合医療を担うカイロプラクティック(108号掲載)

がん治療の化学療法や吐き気予防の薬でしゃっくりが副作用として発生する事が多々あります。がん患者にとってしゃっくりの軽減は難しいもので、絶え間なく続くしゃっくりは日々の生活にも影響を及ぼします。投薬でもその緩和に効果を表すとはいえ、化学療法の上に薬の副作用にも苦しんでいる患者にとって、これ以上の処方薬は負担となるでしょう。そこで私達カイロプラクターの出番です。

39歳男性患者の実例です。彼はステージ4の虫垂腺がんで最初の化学療法を受けた後にしゃっくりが出始め、同時期に重度の首の痛みも出始めました。彼の両親は彼が少しでも楽になるようにと症状の軽減をドクターに願い出ました。その時この病院は、カイロプラクティックを治療の選択肢として選んだのです。

カイロプラクターの評価では頚椎周囲の筋肉と胸鎖乳突筋に中度の緊張があり、左の胸鎖乳突筋の触診中にしゃっくりの軽減が少しありました。患者の同意の下、DCは首に軟部組織マニュアル・セラピーを、C4‐5にアジャストメントを行いました。すると即座にしゃっくりの症状は軽減し、首の疼痛レベルは治療前の8から5に軽減しました。翌日にはしゃっくりはもう出なくなっており、アジャストメント後に疼痛レベルは4に軽減し治療は終わりました。この治療の大事な所は主に第四頸神経から起こる横隔神経に影響を及ぼすアジャストメントを施した事です。

アメリカではDCが常勤している病院もあります。この病院はそうではなかったのですが、病院側からカイロプラクターに治療を依頼し、病室での治療を許しているところは、MDとDCの理解が進み統合医療がいよいよ始まっている事を実感できます。この治療を目撃した医師、看護師達にとってカイロプラクティックはさぞ新鮮に見えたことでしょう。しかし私達にとっては100年以上日々至る所で起きてきた事です。これからの統合医療にもカイロプラクティックは大いに必要となってくるはずです。


姿勢の悪さによる健康被害(107号掲載)

最近では、長時間の座位姿勢は喫煙と同じぐらい身体への影響があるかもしれないと言われ始めています。デスクワークやパソコンの前に座る仕事でなくても、今の時代テクノロジーが発展し過ぎたことにより子供の頃からスマートフォンやタブレットなどを使いこなし覗き込む姿勢をとるため、どうしても前かがみの座位姿勢になってしまいます。私のクリニックでも質問や予約などを電話ではなく、ホームページやSNS、口コミサイト等から調べてメールで問い合わせをいただくケースが増えてきました。とても便利な時代になったとは言え、健康を害してしまっては元もこうもありません。

姿勢が悪いから「肩が凝る」「背中が痛くなる」「頭痛がする」などという事だけではなく、姿勢の悪さ特に猫背やストレートネック等のように身体が前傾する事による色々な健康被害が最新の文献で分かってきました。

米国内科学会の発行紙では座っている時間と疾病発生率、死亡率、入院のリスクの関係性を様々な研究論文から調査し、一日6~12時間座っている人々は糖尿病のリスクが91%上がり死亡率は24%、心臓疾患は18%、癌での死亡率は17%、癌の発生率のリスクは13%高いという事が分かりました。別の研究では姿勢が前かがみになっている65歳以上の高齢者は自宅でも老人ホームでも日々の生活に助けが必要になる確率は3.47倍高くなるという事でした。私達の姿勢は年とともに変わっていきます。しかし、より良い姿勢を保つことは独立した人生を楽しむために必要不可欠であると述べられています。

私達カイロプラクターは患者に姿勢の大切さを説いてきました。特に初診の時にレントゲンや各種器具などを使って視覚的に姿勢の悪さを示すことで患者達に自身の姿勢を実感してもらいマニュピレーションや筋力アップのエクササイズを勧めたりしています。しかし私達はこの問題にもっと声をあげる必要があります。

これからもテクノロジーは更に進み前傾しやすい姿勢となる座ることの多い生活が待っているでしょう。私達の身体は一日中座って作業しても健康で過ごせるというようには出来ていません。身体を動かし、伸ばし、走る、歩く、そして時には座るこれらの動きのバランスが大事なのです。このような生活を促し適切なアドバイスができるドクターはいつでも身体全体のバランスを見る私達カイロプラクター以外にありません。幸か不幸か私達が輝ける時代が向こうからやってきました。患者の健康のためしっかり対処していきたいものです。


カイロプラクティックの検証文献の重要性(106号掲載)

私達カイロプラクターは、様々な疾患がマニピュレーションを施す事で良くなったり、治ったりする事を体験しており、患者もMDの治療を嫌ってカイロプラクターの元に集まることが多々あります。しかしこれは、カイロプラクティック業界の中だけで知られている事で、あまり外では知られていません。その理由の一つとして、医師達だけに限らず誰でも読める文献や研究があまりないからです。残念ながら、ある結果が治療によってもたらされてもそれを検証して証明する文献が出ない限りどんなに良い結果だとしても医学界では受け入れられない流れがあります。

まだまだここアメリカでも、私達の業界を超えての発表論文は多くなく更なる研究が必要とされています。しかしそんな中でもカイロプラクティック治療の正当性を支持する研究がいくつかあります。

まず、マニピュレーションは痛感鈍麻と疼痛閾値を上げる働きがあるという文献です。リュウマチ患者のT12とL4にマニピュレーションを施すとT6、L1、L3の疼痛閾値は大きく上がり、その事からマニピュレーションは中枢神経系を刺激して治療を施した所とその周りにも影響を与え痛覚感受性を減少させる事ができると言う事が分かりました。

次は、神経ペプチドは脳内と身体の機能の伝達を促す物質ですが、マニピュレーションを施すと神経ペプチドが上昇し疼痛緩和が得られるというものです。これは脳室内と鞘内に神経ペプチドを投与すると腰痛と中枢神経性疼痛の緩和が促がされた人体実験でも説明されます。神経ペプチド減少とパーキンソン病、アルツハイマー、摂食障害、卒中等との因果関係を調べた文献もあります。

日本の厚生労働省は、「WHO(国外機関)はあくまでも国外の機関のため、彼らの様々な基準は日本とは関係ない。」と見解を示しました。カイロプラクティック業界を発展させていくためには最重要となる〝業界統一〟の後に自分達でしっかりと研究検証した文献の発表が必要となるはずです。

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